2010年12月10日23時17分
有事の際は韓国を通って北朝鮮まで自衛隊が出動し、拉致被害者を救出――。菅直人首相は10日、北朝鮮による拉致被害者家族会との懇談会で、そんな検討に入るとも受け取れる発言をした。
拉致問題に取り組む熱意を示した形だが、現状では法的なハードルが高いうえ、想定しにくい事態とあって、当惑する声も漏れている。
首相はあいさつで「万が一の時に北(朝鮮)におられる拉致被害者をいかに救出できるか。準備というか、心構えというか、いろいろと考えておかなければいけない」と問題提起。自衛隊の朝鮮半島への派遣を念頭に「救出に直接、自衛隊が出ていって、向こうの国の中を通って、行動できるか、という所までいくと、まだそうしたルールは決まっていないのが現状」と述べ、韓国との間で検討を進める必要性を指摘した。
首相が具体的にどんなケースを想定したのかは不明。複数の政府関係者は「全くあり得ないわけではないが……」と真意を測りかねている。