2010年8月、「ウォークマンがシェアでiPodを抜く」がニュースになった。調査会社BCN調べによるもので、新聞各紙は大きく取り上げた。去年の同じ時期も同様のニュースが話題になった。毎年、iPodは9月に新製品を発表しており、どうしてもこの時期に買い控えが起きて販売台数が伸びない。また、iPodからiPhoneへユーザーが移行していることもシェア逆転の要因と考えられる。8月以降は再びアップルが首位に返り咲いた。日本では携帯音楽プレーヤー市場をけん引する両者だが、iPodは北米をはじめ、世界市場では圧倒的なシェアを誇る。
なぜウォークマンはiPodを逆転できないのか、価格比較サイト大手の「価格.com」の各種データをまとめた市場調査支援サービス「トレンドサーチ」から探った。
3位以下を引き離す、2強の強さ光る
メーカー別のWebページの閲覧数を見ると、1位はアップル、2位がソニーとなっている。3位の台湾メーカー、トライセンドとの差は大きく2強状態なのが分かる。売れ筋ランキングの1位から4位はアップルの「iPod touch」が独占。最新モデルは容量別で3機種しかないが、旧モデルが2位に入っている。対するウォークマンは、5位に「ウォークマン Sシリーズ NWS-S754(ブラック)」、6位に「ウォークマン Sシリーズ NWS-S754(ブルー)」が入った。
アップルの「iPod nano」は、8GBのシルバーモデルが13位。ソニーの最上位機種「ウォークマン Aシリーズ」は64GBモデルが10位、16GBモデルが11位に入っている。
iPod touch人気が断トツ
携帯音楽プレーヤー(価格.comでは「MP3プレーヤー」と呼んでいる)のカテゴリーで断トツの人気がiPod touchだ。1位は店頭販売価格が2万7800円前後の32GBモデル。“携帯電話の契約なしで使えるiPhone”として、Wi-Fi環境でのEメールやネットの閲覧、ビデオ電話、Podcast、ゲーム、ビデオ、カメラなど、音楽プレーヤーに留まらない多機能さが特長だ。口コミでは「アプリ」「ネット」「動画」など、多くの言葉が使われており、携帯音楽プレーヤーの枠には収まらないマルチなプレーヤーとしてユーザーに受け入れられている。
多機能がウリの携帯音楽プレーヤーだが、この機能が欲しいという要望が多かったものがある。「FMラジオ」だ。競合するウォークマンや兄弟機のiPod nanoにはラジオがあるため、新モデルではラジオが付くのを期待している人が多い。