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2回戦を突破した清峰の選手に拍手を送る応援団=阪神甲子園球場で |
長崎の小さな町の県立校が、次々優勝候補を倒していく。今春の選抜大会優勝の愛工大名電(愛知)を初戦で破った清峰が大会第9日の14日、昨夏の準優勝校、済美(愛媛)に9―4と大差をつけた。次は16日に予定される3回戦で、大会タイの19奪三振を記録した辻内崇伸(たかのぶ)投手を擁する大阪桐蔭と対戦する。
済美の最後の打者が左飛に倒れた。学校のある長崎県北部の佐々(さざ)町から駆けつけた町民や生徒ら約3000人は、スタンドで抱き合って喜ぶ。近隣の野球少年が集ったチームの快進撃に、かつての炭鉱の町がわきたった。
同町は人口約1万3000。主要産業の炭鉱が60年代に閉山し、清峰(03年まで北松南(ほくしょうみなみ))は定員割れを繰り返した。
「甲子園を目指そう」
01年4月、吉田洸二監督(36)の就任第一声に当時の部員は「冗談だろ」と笑った。長崎大会1回戦敗退の常連。部員は10人しかいなかった。
「窮屈にすると逃げるから」と吉田監督。「よくなってきたなあ」。そんな言葉でのせつつ、冬は重さ3キロの丸太を抱えて200メートルダッシュを40本。練習は妥協しなかった。03年の長崎大会で3回戦に進み、昨夏は準優勝。力のある選手が集まるようになり、現在の部員は54人を数える。
大会前提出のベンチ入りメンバーで、他都道府県の中学出身者がいないのは49校中19校。同校もそのひとつだ。「幼なじみが仲良く野球をしているようだ」。強豪相手にも萎縮(いしゅく)せず、のびのびとプレーする選手たちを吉田監督はそう評する。
次は大阪桐蔭戦。連続完投の左腕古川秀一君は「連打を浴びない投球をしたい。楽しみです」と笑顔で話した。