2010年11月29日22時55分
東京都青少年健全育成条例改正案に反対を表明する(右から)漫画家の秋本治氏、ちばてつや氏、漫画原作者のやまさき十三氏ら=29日午後、東京都新宿区、金子淳撮影
過激な性描写のある漫画などの販売規制を目的とした、東京都の青少年健全育成条例の改正案に反対する漫画家らが29日、都庁で記者会見し、「表現の自由を侵す恐れがある」などと語った。
改正案は、強姦(ごうかん)など違法な性行為や、社会規範に反する近親相姦(そうかん)を「不当に賛美・誇張」した漫画などを18歳未満に販売できないように規制する、などとしている。
この日、会見したのは、漫画家の秋本治さん、ちばてつやさん、本そういちさん、漫画原作者のやまさき十三さんのほか、大手出版社の講談社、小学館、集英社の役員ら。秋本さんは「『これは描いて良いのだろうか』と漫画家が萎縮(いしゅく)することになる」と主張。小学館の山了吉取締役は「何をもって『不当』と判断されるのか不明確。恣意(しい)的な解釈や運用の恐れが消えていない」、星晶広弁護士は「新たな案では登場人物の年齢が問われず、規制対象が広がった」と述べた。
6月に都議会で否決された改正案は、18歳未満の登場人物を「みだりに性的対象」として描いたものを規制対象としていた。漫画家や都議会から「条文があいまい」との批判を受け、今回は規制対象を法に違反するような性行為などと再規定。30日開会の都議会定例会に提案する。
都の担当者は「規制対象は強姦される側が喜んでいたり、過激な性描写に多くのページが割かれたりしているものに限られる。拡大解釈することはない」と説明。石原慎太郎知事も「表現は幅広く自由なものだろう。しかし、子どもが強姦されるシーンを子どもが見ることを良いとするのか」などと述べた。