2010年12月7日15時3分
宮崎市の民家で今年3月、同居の家族3人を殺害したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職奥本章寛被告(22)=同市花ケ島町=の裁判員裁判の判決公判が7日、宮崎地裁であり、高原正良裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。裁判員裁判の死刑判決は、横浜と仙台両地裁(いずれも被告側が控訴)に次いで全国3例目となった。
起訴内容に争いはなく、家族内での殺人事件の量刑を裁判員がどう判断するかが注目されていた。裁判員裁判での殺人事件としては被害者が最多の3人で、死刑求刑は5例目だった。
検察側は論告で、凶器を準備して15分で次々に3人を殺害した計画性などから「残虐性が極めて高く、冷酷で悪質な犯行」と指摘。義母の池上貴子さん(当時50)に一方的に憎しみを抱き、自由な生活を手に入れようと、長男雄登ちゃん(同5カ月)と妻くみ子さん(同24)も邪魔と考えたという殺害動機は「自分中心で身勝手。同情できない」と非難し、死刑を求刑した。
弁護側は最終弁論で、義母から仕事を辞めた理由などを厳しくなじられ、逃れたいと思ったことが犯行の背景にあり「人間性が感じられないほどの残虐性はない」と反論。「考え方を正せる年齢。犯罪とは無縁の生活だった」と述べ、更生の可能性があるとして死刑回避を求めていた。
起訴状によると、奥本被告は3月1日早朝、自宅で寝ていた長男の首を絞め、別室にいた妻と義母の頭をハンマーで殴るなどして殺害。同日夜、長男の遺体を市内の資材置き場に埋めたとされる。