数年前のダイアモンドZAIにBNF氏とCIS氏の対談が載っていた。
名実とともに日本でもトップクラスのトレーダー二人の対談は、かなり読み応えのある内容だったと記憶している。
中でも印象に残ったのは、CIS氏がBNF氏のことを天才だと持ち上げていたのに対して、BNF氏は自分が成功したのは“間違ったトレード”をしていたからだと答えていたこと。
200億稼いだにもかかわらず自らのトレードスタイルをリスクを取りすぎていたと冷静に分析しているところはさすがBNF、彼の辞書には慢心という言葉はない。
このような客観的なスタンスで相場に臨んでいるからこそ、あれだけの資産を築けたのだろう。
FXでよく種銭数万を短期間で1億円にする人がいるけど、これって必ずしもトレードにおける“聖杯”をみつけたわけではなくて、BNF氏がいうところの“間違ったトレード”をしていたからこそ稼げたと思うんだよね。
いうまでもなく常に再現可能な必然性を持った鉄板ストラテジーなど存在しない。
トレーディングって、神様のいたずらでその人の実力以上のパフォーマンスが出てしまうことがある。
しかし、長期間トレードを続けていくと大数の法則により、その人の本当の実力が反映され、成績も収斂してくる。
すなわち、平均への回帰。
キャリアの浅いトレーダーがビギナーズラックではなく“自分の実力”で勝ったと勘違いしていると平均への回帰がおこったときにすべての資金を溶かしかねない。
このブログでもよく取り上げたGFF氏とか、平均への回帰を説明するうえでわかりやすい例だと思う。
彼は10万を2ヶ月で4億円にしたけど、12月現在では1千万程度になってしまったという噂だ。
今でこそGFF氏はしっかり損切りしているけど、かっては決して損切りしないスタイルだった。
皮肉なことだが、トレーダーとして成長し“間違ったトレード”から“正しいトレード”に移行していくにしたがって、以前のような爆発的なパフォーマンスが再現される可能性はますます低くなるだろう。
かって今井雅人さんがウェブセミナーで仰っていたのだが、彼の17年にもおよぶディーラー生活で「天才」と呼ばれた人はたくさんいたらしいが、その「天才」達の多くはいつしか為替の世界から退場していったらしい。
まさしく、平均への回帰だ。
プロ中のプロである今井雅人さんが資産が1億円ないということに驚いたことがあったけど、FXってリスクリワード比を考えながら慎重にトレードすると、やはりそんなに容易に稼げるような金融商品じゃないということがわかってくる。
短期間で爆発的に儲けるのは、たいてい恐れを知らない若い個人投資家だ。
だからこそ、大きく稼いで、その後大きく負けて退場していくケースも多い。
僕が考える“FXにおけるまっとうなトレード”とは、資金管理を考慮した退場を食らわないやり方だ。
大儲けをしなくてもいいから、どんな地合いであろうが確実に生きのびることを優先させたい。
それにしても、コンスタントに利益を積み重ねることはなんという難しいことか。
FXを生活の糧としてメインにすえるには、今の僕の実力では正直無理があるな。