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  2008年 第55回春季東北地区大会

花巻東、無念の完敗 春季東北高校野球

 【山形県中山町で本社記者団】第55回春季東北地区高校野球大会第4日は15日、山形県中山町の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムで準決勝2試合を行った。本県第1代表の花巻東は、甲子園常連校の青森山田(青森第1)に1―8の八回コールドで敗れ、初の決勝進出はならなかった。花巻東は0―1で追う二回裏一死二、三塁からスクイズに失敗し、飛び出した走者2人が併殺に。六回二死三塁から柏葉康貴(2年)の左中間二塁打で1点を返したが、五回まで2安打と振るわなかった。投手陣も打ち込まれた。最終日の16日は、山形県中山町の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムで決勝(開始予定10時)を行い、酒田南(山形第1)と青森山田が対戦する。

15日の県勢の試合
【山形蔵王タカミヤホテルズスタジアム】
▽準決勝
1 2 3 4 5 6 7 8 9
青森山田
(青森1)
0 1 1 0 5 0 0 1 8
花巻東
(岩手1)
0 0 0 0 0 1 0 0 1
(8回コールド)


花巻東、会心4強 春季東北高校野球 2008.6.15

 【山形県で本社記者団】第55回春季東北地区高校野球大会第3日は14日、山形県天童市の天童スポーツセンター野球場など2球場で準々決勝4試合を行った。県勢は第1代表の花巻東が仙台育英(宮城第1)を6−2で下し、2003年大会以来5年ぶりのベスト4進出を決めた。

 花巻東は最速149キロで注目を集める左腕菊池雄星(2年)が公式戦初先発。切れのいいスライダーと速球で仙台育英打線を5安打に抑え完投した。打線は初回、猿川拓朗(2年)の左前打で1点を先制。果敢な走塁と集中打で3、5、6回と着実に得点を重ねて、仙台育英に快勝した。

 第4日の15日は、山形県中山町の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムで準決勝2試合を行う。花巻東は第2試合(開始予定12時30分)で青森山田(青森第1)と対戦する。

 強豪相手、気迫の完投 花巻東・菊池

 注目の左腕菊池雄星(2年)がマウンドでほえた。一球投げるたびに「おりゃー」−。強豪仙台育英相手に被安打5、奪三振8と気迫で完投し花巻東の4強進出に大きく貢献した。

 県大会決勝で救援して以来の公式戦登板。腕を上げる形に修正したフォームはまだ固まっていない。「四球を出してもいいから思いっきり腕を振ろう」。中村有哉捕手(3年)に「調子が上がらないなら声を出して投げろ」と言われ気合を込めた。

 左打者8人が並ぶ相手打線に「ひざ元から落ちるスライダーで勝負」。序盤は変化球主体でタイミングを外し5回まで無失点。味方打線の援護で5−0とリードすると、伸びのある速球を相手の胸元にビシビシ投げ込んだ。

 暴投4、四死球5は満足できる数字ではないが、相手打線もバットに当てるのが精一杯。球威で強豪を圧倒した左腕は「(仙台育英は)あこがれのチームだったので、名前負けしないで戦おうと思った。1年生から投げたことのない先発で勝ててうれしい」と笑顔を広げた。

 「夏は連戦。速い投手より、勝てる投手になれ。9回まで行くからな」と菊池を先発に送り出した佐々木洋監督は「球数も少なく、いいピッチングだった」と復調に手応えを感じていた。(村上)

【写真=準々決勝 仙台育英−花巻東 気迫のこもったピッチングで仙台育英打線を5安打に抑え、完投勝ちした花巻東の菊池=山形県天童市・天童スポーツセンター野球場】

【天童市スポーツセンター球場】
▽準々決勝
1 2 3 4 5 6 7 8 9
仙台育英
(宮城1)
0 0 0 0 0 1 1 0 0 2
花巻東
(岩手1)
1 0 2 0 2 1 0 0 × 6


花巻東コールド発進 羽黒に8−1 2008.6.14

 【山形県中山町で本社記者団】第55回春季東北地区高校野球大会第2日は13日、山形県中山町の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムなど2球場で2回戦6試合を行った。県勢は第1代表の花巻東が羽黒(山形第3)を8―1の7回コールドで破り、ベスト8に駒を進めた。

 花巻東は1点を先行された1回裏二死二、三塁から、古舘昂樹(3年)が右前打で2点を挙げて逆転。機動力とコンパクトな打撃で3回、5回、6回に追加点を挙げて快勝した。

 第3日の14日は準々決勝4試合を行う。花巻東は天童市の天童スポーツセンター野球場の第2試合(開始予定12時30分)で仙台育英(宮城第1)と対戦する。

 走攻守、勢い十分 花巻東

 花巻東が投打に羽黒(山形第3)を圧倒し8強進出を決めた。

 初回1点を先制されたが、1回裏二死二、三塁から古舘昂樹(3年)が右前打を放ち2―1と逆転。「無我夢中で直球を振り抜いた。ベンチに入れなかった仲間のためにも絶対勝ちたかった」。この一打でチームは勢いに乗った。計5盗塁を決めるなど機動力で相手を揺さぶり3回に3点、5回に2点を挙げて勝負を決めた。

 3回に左中間二塁打、6回に中越え三塁打と得点機をつくった川村悠真(2年)は「(前日に)県勢2校が敗れたので、第1代表の意地を見せたかった」と晴れ晴れとした表情だった。

 投げては県大会で背番号10だった斎藤研志郎(3年)がエース番号「1」を背負って躍動。「相手は大型選手が多いので低めを攻める」と捕手の中村有哉(3年)と打ち合わせた作戦が的中。時速90キロ台のスローカーブと130キロ台の直球を織り交ぜ相手打線を3安打に抑えた。決め球スライダーで凡打の山を築き「背番号は関係ない。初戦をいい形で勝てたのがうれしい」と笑顔を広げた。

 準々決勝は仙台育英戦。佐々木洋監督は「接戦を想定したが、今日の打線は出来すぎ。次もチャレンジャー精神で臨む」と気合を入れ直した。(村上)

【写真=羽黒―花巻東 1回裏花巻東二死二、三塁、古舘が一、二塁間を抜く右前打を放ち、1―2と逆転する。(10)は投手佐藤(壮)、捕手石井、球審本間=山形県中山町・山形蔵王タカミヤホテルズスタジアム】

【山形蔵王タカミヤホテルズスタジアム】
▽2回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
羽 黒
(山形3)
1 0 0 0 0 0 0     1
花巻東
(岩手1)
2 0 3 0 2 1 ×     8
(7回コールド)


久慈東、初戦で涙 春季東北高校野球 2008.6.13

 【山形県で本社記者団】第55回春季東北地区高校野球大会第1日は12日、山形県中山町の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムなど2球場で1、2回戦の計4試合を行った。県勢は28年ぶり出場の福岡(第2代表)と、初出場の久慈東(第3代表)がともに初戦で涙をのんだ。

 福岡は2回戦から登場し、東北(宮城第2)に1−13の5回コールド負けだった。久慈東は1回戦で磐城(福島第3)に2−6で敗れ、東北1勝はならなかった。

 第2日の13日は2回戦6試合を行う。本県第1代表の花巻東は山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムの第2試合(開始予定11時30分)で、羽黒(山形第3)と対戦する。

【皆川球場】 【山形蔵王タカミヤホテルズスタジアム】
▽1回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
磐 城
(福島3)
0 0 1 1 0 0 4 0 0 6
久慈東
(岩手3)
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2
▽2回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
福 岡
(岩手2)
1 0 0 0 0         1
東 北
(宮城2)
0 1 12 0 ×         13
(5回コールド)


夏本番へ腕試し 春季東北野球が12日開幕 2008.6.12

 第55回春季東北地区高校野球大会は12日開幕する。山形県の山形蔵王タカミヤホテルズスタジアム、皆川球場、天童市スポーツセンター球場の3球場で、各県代表3校の計18校が頂点を争う。本県代表は花巻東(第1代表)と福岡(第2代表)が2回戦、久慈東(第3代表)が1回戦から登場。県大会を終盤の逆転で制した花巻東は13日、地元の羽黒(山形第3)とぶつかる。28年ぶりの東北切符をつかんだ福岡は東北(宮城第2)、初出場の久慈東は磐城(福島第3)と、ともに12日対戦する。東北の強豪校との公式戦は選手にとって最高の力試しの場となる。夏の岩手大会(7月10日開幕)をにらんだ本県代表校の戦いに注目が集まる。

 「足攻」交え攻撃多彩 花巻東

 昨夏の甲子園出場校は総合力の高さを見せつけ春の県大会を制した。

 打線は先発メンバーに左がずらりと並ぶ。盗塁を絡めた「足攻」が武器だ。県大会5試合で盗塁18、四球26をマーク。序盤の集中打で一気に勝負を決める迫力があった。県大会で打率4割6分7厘の後藤祥祐(3年)が出塁し、決勝で逆転本塁打を放った中村有哉(3年)、5試合で7打点を挙げた猿川拓朗(2年)で得点したい。

 投手陣は変化球が武器の主戦高橋駿、本格派斎藤研志郎(ともに3年)らが安定。最速149キロの注目左腕菊池雄星(2年)も県大会で救援登板し徐々に調子を上げる。

 対する羽黒は山形県大会3位決定戦で佐藤壮崇(2年)が、昨秋第2代表の山形中央打線を内野安打3本に抑え完封するなど投手陣が好調を維持している。

 投打のバランス良く 福岡

 福岡中で全国優勝を果たした2年生メンバーの活躍で28年ぶりの東北切符をつかんだ。県大会決勝は花巻東に惜敗したが投打のバランスの良さで勝ち上がった。

 打率3割5分を超える強力打線は2年生がクリーンアップを固める。県大会では打率3割8分9厘の山内慎樹、2回戦で本塁打を放った外田嘉之助、長打力のある大西祥平が5打点以上を挙げるなど勝負強い。

 県大会決勝で被安打5、11奪三振と力投した本格派右腕の鈴木大志(3年)、緩急で打ち取る東山剛(2年)ら投手陣も安定し県大会5試合を失点7でしのいだ。

 今春のセンバツに出場した東北は本格派左腕の萩野裕輔(3年)が140キロ台の直球とスライダーを武器にチームを引っ張る。打線も宮城県大会4試合で34得点を挙げるなど強力だ。

 投手2枚看板が奮闘 久慈東

 初の東北大会進出の原動力は、タイプの違う投手2枚看板の奮闘だった。

 最速141キロの直球が持ち味の中村智哉、シンカーなど変化球が武器の堀米遼介(ともに3年)は1年生から起用され経験豊富。県大会は準決勝を除き、1試合2点以下に抑えロースコアの接戦に持ち込んだ。

 県大会5試合は盗塁ゼロながら、15犠打で一死からでも走者を得点圏に送る野球を徹底した。石崎進也、下斗米正士、新屋吉将(いずれも3年)らが3割8分以上と高打率を残し、少ないチャンスで勝負強さを発揮する粘り強さが光った。

 磐城は福島県大会2回戦で今春のセンバツに出場した聖光学院に6―5でサヨナラ勝ちした。主戦田中勇翔(3年)はスローカーブが持ち味。守備は全5試合で2失策と堅い。



躍進の陰に名指揮官 就任3年目の久慈東・石橋監督 2008.6.11

 12日に山形県で開幕する春季高校野球東北大会に初出場する久慈東は、石橋智監督(47)が進める「一流志向」のチーム改革が実を結んだ。かつて秋田工を指導2年目で夏の甲子園に導き、北東北大学野球リーグの青森大を常勝チームに育て上げ全国大会9度出場を遂げた名指揮官。県教委スポーツ特別教員の野球分野第1号の石橋監督が、就任3年目で「結果」を出した。

 春季県大会で昨秋覇者の盛岡四、東北大会4強の盛岡大附を撃破した快進撃は、まぐれではない。

 久慈東がこれまで練習試合した相手は、仙台育英(宮城)、浦和学院(埼玉)、京都外大西(京都)など甲子園常連校が並ぶ。全国に名が知れた石橋監督だからこそ組めるカード。狙いは「試合や練習中の強豪校の姿勢を学び、勝つことへの執着心とミスへの厳しさを学ばせること」にある。

 昨秋は東京六大学野球観戦ツアーも行った。指導理念には「一流のプレーを見なくては上達しない」がある。

 監督就任1年目、初采配(さいはい)の春季地区大会で終盤八回、7点リードから逆転負けしても「健闘ムード」が漂うチームに「何が何でも勝ちたいと思わないのか」と怒りに似た感情がわいた。

 2006年の関東遠征では桐光学園(神奈川)に0―10。当時1年生で先発した主戦中村智哉(3年)は「一死も取れずに降板した」と振り返る。

 強豪校との対戦が着実に意識改革を起こした。下斗米正士(3年)の父で父母会長の正彦さん(44)は「選手たちに、もっとうまくなりたいという欲が出てきた」と変化を喜ぶ。父母会も一致団結し、遠征のバス送迎からブルペンを覆うネットの建設など、支援態勢を強化した。

 今年3月の遠征は智弁学園(奈良)に0―1、昨夏甲子園出場の金光大阪(大阪)には5―2で勝った。正路卓麻主将(3年)が「名前負けすることはない。自分たちの力を出せば結果を出せる」と語るように自信が芽生えた。

 サッカー部、陸上部とかち合うグラウンドでは無理に全体練習をせず、ポジションごとに守備、打撃、バントなど部分練習で個々の技術を磨いた。

 春季県大会は出場チーム最多の15犠打を記録するなど確実なプレーが身に付いた。グラウンド外に整備した6つのブルペンには野手兼任を含む15人の投手が交代で入り、熱の入った投球練習をする。

 石橋監督は教員採用面接で「これまでの人脈を生かして強豪校と対戦する」と公言したという。「私立校の実力が拮抗(きっこう)する岩手なら、公立校でも甲子園出場の夢を見られる」。もう一度、高校球児と一緒に甲子園の夢を追いかけたくて本県を選んだ。

 久慈東のメンバーは全員が地元出身。「おれを信じてついてこい」と語る監督を見つめる選手の目は真っすぐだ。

 【石橋 智(いしばし・さとし)】 秋田県大仙市出身。大曲高から法大に進み、第42回選手権大会、第33回選抜大会で春夏連覇した法政二(神奈川)を率いた田丸仁監督の下で指導法を学んだ。卒業後は秋田工(秋田)を就任2年目(当時史上最年少25歳)で甲子園に導き、青森大では9度の全国大会出場。青森山田中監督を経て05年から久慈東高教諭、翌年からチームを率いる。47歳。八戸市在住。

【写真=初出場の東北大会に向けて、選手を鼓舞する石橋智監督(右から2人目)=久慈東高グラウンド】



花巻東、初戦は羽黒(山形) 春季東北高校野球 2008.6.6

 第55回春季東北地区高校野球大会(12―16日、山形県)の組み合わせは5日、決まった。本県第1代表の花巻東は羽黒(山形第3)、第2代表の福岡は東北(宮城第2)と、ともに初戦の2回戦でぶつかる。第3代表の久慈東は1回戦で磐城(福島第3)と対戦する。

 花巻東は4年ぶり3度目の出場。県大会5試合で計18盗塁の機動力とコンパクトに振り抜く打線で上位を狙う。対戦する羽黒は2年ぶり14度目。山形県大会3位決定戦で完封勝ちし東北大会に進んだ。

 28年ぶり3度目出場の福岡は県大会各試合で2失点以内と投手陣が安定。強打の中軸が2年ぶり24度目出場の東北の投手陣をどうとらえるか。

 初出場の久慈東は犠打を絡めたつなぐ野球が持ち味だ。初戦の磐城は3年ぶり11度目。福島県大会でセンバツ出場の聖光学院にサヨナラ勝ちするなど粘り強い。

 大会は、山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムなど3球場で開催される。


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