【社説】宗教理由に中東マネー誘致を妨げる議員たち

 韓国企業や金融機関各社がイスラム債券(スクーク)を発行し、中東諸国のオイルマネーを引き入れるための租税特例制限法改正案が、一部議員らによる反対で審議保留となった。スクークとは、利子の受け取りを禁じるイスラム法に基づいて発行される特殊な金融商品で、債権の発行や投資などが、書類上の会社による資産の売り買い、あるいは貸し借りといった複雑な形で行われる。

 イスラム債券を発行する企業はこれら複雑な取引の過程で、資産の売買や貸出に伴う譲渡税や取得税、登録税、法人税、付加価値税を支払わなければならない。そのため一般の外貨建債券を発行するのに比べ、金利が4%ほど高くなる。今回の法律改正案は、イスラム債券に対する各種税金を免除することで、韓国企業も通常の外貨建債券と同じ条件で、イスラム債券を発行できるようにするのが目的だった。

 ところが一部の議員らは、「税の免除はイスラム圏の投資家に特恵を与えることになる」として、改正案の採決に反対した。韓国企業が米国や日本、欧州で発行する債券と、イスラム債券を同じように取り扱うのを行き過ぎた特恵と見なすのはおかしいのではないか。企画財政部の尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)長官も国会で、こうした疑問点を訴えたほどだ。

 一部の議員らがこのように無理な主張をする理由は、韓国国内の宗教界の反発を意識しているためとされる。それが事実ならば、非常に憂慮すべき事態だ。イスラム債券を発行する目的は、中東諸国との経済交流を促進し、外貨を稼ぐ道を広げるためだ。中東の投資家たちは資金が豊富なだけでなく、長期の投資を好む傾向があるため、通貨危機などのリスクを回避するのに役立つと考えられる。そのため世界各国が中東のオイルマネーを誘致しようと、積極的にイスラム債券の発行に乗り出しているのだ。一部の議員らが、イスラム債券の発行に、実際には何の関係もない宗教を理由に反対するとすれば、宗教を政治に引き入れるという大きなリスクを背負い込む結果になるだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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