ツッコミどころ満載…実写版「ヤマト」はアリ?ナシ?

2010.12.09

 今月1日に公開された木村拓哉(38)主演の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」が好調に発進した。あの昭和の人気アニメの実写化とあって、客層の6割近くを40〜50代が占める。「アニメと違いすぎる」「いや、VFX(特殊効果)は迫力があった」など、ファンの間で議論沸騰中なのだ。

 封切り日は意表をついた水曜日。1000円で見られる“映画の日”とあって、動員に弾みがついた。

 公開日から5日間で約80万人を動員し、興行収入は9億4399万円と10億円目前。配給の東宝では50億円を十分狙えるとみている。「宣伝費などを含めた総製作費は20億円と聞く。興収50億円ならば、劇場側の取り分が半分として、製作費分を引いて5億円が儲け。DVDやテレビ放映権、海外セールスを入れれば、結構稼いだことになる」と劇場関係者。

 好調の鍵を握るのは、テレビアニメシリーズの「宇宙戦艦ヤマト」で育った“ヤマト世代”だ。

 パソコンとケータイを使ったWEB初日アンケートによると、客層は男女比が52対48で、年齢別では40代が44・4%で最多。次いで30代の19・0%、50代の15・1%、20代の12・9%と続く。40〜50代は合わせて約6割に達する。

 「一番、映画館に足を運ばない中高年が見ている。私もそうだが、『実写になったヤマトを見てみたい』と思ったのだろう」とヤマトファンを自認する映画評論家の望月苑巳氏。

 面白いのは、やや若い世代に、厳しい意見が目立つこと。「VFXはようやく『スター・ウォーズ』第1作レベル。まだまだ先は長い」とは、30代前半の映画ライター・安保有希子氏。

 ヤマト世代の方が、アニメとのギャップを“覚悟”して見るためか、「ヤマトの外観は結構かっこよかった。日本も進歩したね」(40代後半のライター・青山道灌氏)「山崎貴監督のVFXは完成度が高く、『スター・ウォーズ』も真っ青だね」(50代半ばの映画評論家・やまがたじゅん氏)と、鷹揚なのだ。

 どんな中身なのか−。

 実写版では黒木メイサ(22)演じる森雪が、ツンデレ系の戦闘機パイロットに変更された。日本酒の一升瓶がトレードマークの艦内医・佐渡先生もアニメの飲んだくれ爺さんから、しっとりした高島礼子(46)に。通信担当の相原もマイコ(25)が演じるなど、“強い女性”の活躍が目立つ。

 完全なネタバレにならない程度に、クライマックスのさわりに触れると、ガミラス側が、どんな“宇宙人”なのか、イスカンダルとガミラスの関係はどうか、ロボット「アナライザー」の活躍ぶりは−など、見どころ(=ツッコミどころ)は満載だ。

 「スペース・オペラながら、ガミラス兵と戦う部分の描写はベトナム戦と同じアナログ色なのに驚いた」(望月氏)

 最後に蛇足ながら、小紙芸能デスク(47)の感想を。

 「乗組員によってヤマトへの愛情に温度差があるのは、気がかりだが、技術班班長の真田志郎を演じた柳葉敏郎の熱演を見ただけでも元を取った気分。あら探しをしながら見るのならヤメた方がいい」

 

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