佐賀市で07年、知的障害のある安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題で、県警巡査長、松雪大地被告(30)が特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われた審判の第8回公判が7日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)であった。安永さんの父孝行さん(49)が証人として出廷し「健太は警察から殺されたと思っている。(警察は)保護と言うが、その言葉は生きてこそ。健太が死んでいるのに使うのはおかしい」と訴えた。
孝行さんは、安永さんが松雪被告らに抵抗したことについて「(現場交差点に停車していた)バイクにぶつかって健太が倒れた時、『大丈夫か、ケガしてないか』と声をかけてくれれば良かった。『何しよっとか』と言われてびっくりし、パニックになった」と主張。手足をバタつかせて抵抗したことも「パニックで触られるのを嫌がったのではないか」と推測した。
安永さんの性格については「純粋無垢(むく)。おとなしくて、ケンカしたところを見たことがない。人に危害を加えることもないと思う」と説明した。
またこの日、現場の交差点を信号停車中に、車から事件を目撃した女性も出廷し、暴行を否定した。
次回の公判は16日。松雪被告に対する被告人質問が行われる。【蒔田備憲、田中韻】
毎日新聞 2010年12月8日 地方版