滋賀県米原市で交際相手の小川典子さん=当時(28)=を汚水タンクに落とし殺害したとして、殺人罪に問われた会社員森田繁成被告(41)の裁判員裁判で、大津地裁(坪井祐子裁判長)は2日、懲役17年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。判決は状況証拠から被告による殺害を認定し、「弁解は信用できない」と無罪主張を退けた。事件は森田被告と小川さん殺害を結び付ける直接証拠がなく、状況証拠の評価が焦点だった。
判決は、森田被告の車の後輪ブレーキドラムから検出された小川さんの血痕について「犯人が乱打した際に付いた蓋然(がいぜん)性が高い」と指摘。汚水タンク近くで似た車が目撃され、被告が小川さんに会った最後の人物だった点などを挙げ、「健全な社会常識に照らし、被告が犯人であることは、合理的疑いを差し挟む余地がない程度に立証されている」と認定した。
事件の動機は不明とする一方、不倫関係にあった2人に何らかの行き違いがあり、「森田被告が興奮に駆られ、怒りを暴発させた可能性が最も高い」とし、殺害の計画性を否定。「犯行態様は残忍だが、身勝手極まりないと言うにはちゅうちょを覚える」と述べた。
裁判員を務めた50代の男性会社員は、記者会見で「家に帰っても、本当はどうだろうと考えた。精神的に厳しかった」と語った。(2010/12/02-19:23)
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