社説

2010年12月07日

与野党の猛反省を促したい

 実りのない国会だった。臨時国会は64日間の会期を延長せずに閉会した。

 2010年度補正予算は成立したものの、多くの重要法案が審議すらできず、「政治とカネ」をめぐる小沢一郎民主党元代表の国会招致も先送りとなった。

 一方、仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議が野党の賛成多数で可決された。

 自民党などは仙谷氏の辞任を求め、両閣僚が出席する国会審議には今後も応じない構えだ。

 これで国民の負託に応えたといえるだろうか。議論の上で合意形成を目指す「熟議」には程遠い国会に終わったことに対し、与野党双方に厳しい反省を求めたい。

■閣僚の失言も相次ぐ■

 「政策の国会、熟議の国会にしていくよう努める」と臨時国会冒頭の所信表明演説で菅直人首相はこう強調した。

 ねじれ国会を乗り切るために目指したのは、法案修正にも柔軟に対応し、政策ごとに協力を求める「部分連合」だったはずだ。

 それが対立国会に終わった責任はまず政府、与党にある。

 首相が「最重要課題」と明言した10年度補正予算案の提出は召集から1カ月近くたってから。審議も「政治とカネ」の問題や中国漁船衝突事件と映像流出への政府対応などに多くの時間が費やされた。辞任に至った柳田稔前法相ら閣僚の失言も相次いだ。

 補正予算の成立が大幅にずれ込んだため、国家戦略室を「局」に格上げする政治主導確立関連法案や郵政改革法案、労働者派遣法改正案など重要法案が軒並み継続審議・廃案となった。通常国会は多くの難題を抱え込む。

■論戦通し政策を練る■

 小沢氏の国会招致では首相も民主党も毅然(きぜん)とした対応を示せなかった。民主党の岡田克也幹事長は「今国会での実現に努力する」と約束したが先送りに。小沢氏は政治資金疑惑について国会で一度も説明していない。通常国会では早急にけりをつけるべきだ。

 野党の姿勢も建設的だったとはいえない。中国漁船事件などで政府の責任を声高に責め立てるばかりで、深刻な景気・雇用対策や外交・安全保障政策の議論は深まらなかった。問責決議・審議拒否で対決をアピールする姿勢も工夫がない。政権担当の経験のある自公両党に国民が期待するのは、対決一点張りではない「新しい国会」の姿ではないか。

 政府、与党は通常国会に向けた戦略の見直しが必要だ。

 協力を期待した公明党も問責決議賛成に回り、通常国会は冒頭から審議が空転する可能性もある。与党内には通常国会前の内閣改造論も出ており、首相は難しい判断を迫られる。

 野党も旧態依然とした審議拒否戦術をとるべきではない。論戦を通じてより良い政策に練り上げていく国会の在り方を与野党は真剣に考えてもらいたい。


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