仙谷由人官房長官は7日午前の記者会見で、長崎県の国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門を開門するよう再び国に命じた福岡高裁判決について「上告を含め適切に対応したい」と述べた。一方、今年4月に政府・与党の検討委員会が「開門調査を行うことが適当」と指摘していることを受け「(調査)実施に向けどのような条件整備が必要か検討する。政治的には座長報告に従った政治方針を取るべきだろう」とも述べ、上告とは別に開門調査に前向きな姿勢も示した。
菅直人首相は08年当時、国に開門を命じた佐賀地裁判決を「画期的」と評価していた。上告すれば野党時代の主張と矛盾するが、仙谷氏は07年に事業が完工し「大きな状況の変化だ」と説明。事業そのものは「やるべきではなかったと、今でも確信している」と批判した。また仙谷氏は状況の変化を受け「いっぺん見に行かなければならない」と述べ、現地視察をする意向を示した。
一方、鹿野道彦農相は7日の閣議後会見で、上告の是非の判断と同時に開門調査の是非を判断する可能性に言及し「一つの考え方としてあるのではないか」と述べた。
鹿野農相は「訴訟対応と政治判断をどうするかは非常に難しい、重要なものだ」と述べた。【野口武則、佐藤浩】
毎日新聞 2010年12月7日 東京夕刊