菅直人首相は9日午後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設を目指す政府方針への理解を得るため模索していた自らの沖縄訪問について「今月中ということで、今検討している」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
これに関し、仙谷由人官房長官は同日午後の記者会見で、首相訪問の日程調整のため、福山哲郎、滝野欣弥両官房副長官を13日に沖縄県に派遣すると発表した。両副長官は仲井真弘多知事と会い、沖縄振興策を検討する沖縄政策協議会の下に設置された作業部会の月内開催などについても意見交換する。
政府内では当初、移設先を同県名護市辺野古とした日米合意への地元の反発を考慮し、首相の早期訪問は見送るべきだとの意見が広がっていた。一転して年内訪問を目指すことにした背景には、先のワシントンでの日米外相会談でクリントン国務長官が、同県知事選で仲井真氏が再選されたのを受け、合意履行に向け国内調整を急ぐよう求めたことがあるとみられる。
ただ、仲井真氏は同飛行場の県外移設を求めており、移設問題を直ちに進展させるのは困難との見方が支配的だ。政府内には、具体策のないまま首相が訪問することに慎重論もなお根強い。
[時事通信社]