福岡県は9日、暴力団幹部とゴルフをするなど密接な交際をしたとして、県発注工事を受注していた松尾建設工業(同県八女市)との契約を10日付で解除すると発表した。県工事の契約書に暴力団排除条項が盛り込まれるようになった2008年4月以降、同条項に基づく契約解除は初めて。
県は「同社役員が県内のゴルフ場で指定暴力団山口組系組長の誕生日コンペに参加するなど暴力団と密接な交際があった」とする県警の通報を受け、10月25日から6カ月の指名停止処分を決定。さらに契約状況を調べたところ、八女市立花町の砂防ダム工事を約4200万円で受注していることが分かった。
工事は11月末時点で7割程度が終了しているため、県は出来高に応じて工費を支払う一方、同社から契約金額の10%を違約金として徴収する。残りの工事は再入札するため来年3月中旬の完成はずれ込む見通し。
同条項に基づき指名停止処分を受けた業者が、工事を受注していたケースは09年度に5件あったが、いずれも「工事が遅れて県民が不利益を被る」などとして契約解除には至らなかった。
取材に対し、同社は「担当者がいないので分からない」としている。
=2010/12/10付 西日本新聞朝刊=