【長野】米軍普天間飛行場の移設問題をきっかけに「自分たちで沖縄問題を発信しよう」と新聞づくりを進めてきた長野県北安曇郡松川村の松川中3年C組(32人)は8日、取材の成果をまとめた「沖縄新聞」を発行した。「沖縄の問題は日本全土の問題。何かしなければならない」との思いを強くした生徒たちは「新聞を読んで沖縄に関心を持ち、沖縄の人の気持ちを考えて行動してほしい」と訴える。
基地問題や沖縄戦、歴史・文化など幅広いテーマを網羅した内容で、タブロイド判のオールカラー全12面構成。2600部印刷し、長野全県の中学校約200校に郵送した。
1面では普天間飛行場問題で普天間中に実施したアンケートをまとめ、多くの生徒が「他県の中学生は沖縄の基地問題に関心がないと思う」と回答したと紹介。さらに長野県の2中学校のアンケートなどと比較し、関心度に違いがあることを浮き彫りにした。
社説にあたる「級説」は基地の抑止力や中東まで拡大する日米安保条約の問題点を指摘、「もう一度、沖縄に基地が必要かを考え直すべきだ」と主張した。沖縄戦のページでは、鉄血勤皇隊員だった元県知事の大田昌秀さん(85)らが沖縄戦体験者の思いを伝えた。
1面担当の吉田智穂さん(15)は「沖縄の伝えたい思いと、わたしたちが伝えたい思いが一緒になった」、級説担当の渡島寛己さん(15)は「発行で終わりではない。沖縄との懸け橋になり、当事者として行動したい」と力強く話した。
学校現場に新聞を活用する「NIE」の実践で支援した地元の信濃毎日新聞社主筆の中馬清福さんは「ここまで立派な『沖縄新聞』を発行でき、喜びと同時に驚いている」と評価した。