神奈川県藤沢市の市制施行70周年を記念して今年始まった「藤沢検定」の公式ガイドブック(171ページ)で120カ所以上も誤りが見つかった。「市政70周年」との誤字や、郷土の誇りである五輪金メダリストを「銅メダリスト」と間違えた。江の島や慶応大湘南藤沢キャンパス(SFC)で知られる上、さらに「魅力を再発見し世界に発信する」(海老根靖典市長)との意気込みで、インターネットで受けられる検定を始めた市は頭を抱えている。【永尾洋史】
間違いが続発したのは「藤沢検定公式ガイド」(長崎出版、1575円)。「市制施行70周年」を「市政70周年」と誤ったほか、北京五輪で金メダルに輝いたソフトボール日本代表で主将を務め、市民栄誉賞を受けた同市出身の山田恵里選手を「銅メダリスト」と記述。奈良時代に関して「都が奈良に定められ平安時代に」などと一般常識が疑われる間違いもあった。
ガイドは、慶応の学生やOBらで作る一般社団法人で検定を主催する「リベラルアーツ推進協会」の著作・編集で、検定を後援する市が「公認」して1800部を9月に発行した。市によると、協会が昨春から1年かけて編集作業をし、市の各部局の担当者が半年かけて校正したという。
海老根市長は「校正が不十分で迷惑をかけた」として、購読者に正誤表を送付することも検討したが、誤りが多すぎて困難だという。回収はしておらず今も市内の書店の店頭に並んでおり、新規販売は自粛する。
検定は、歴史・偉人・遺跡・自然・スポーツなど10分野50問を1時間の制限時間内にネット上で解く。検定料は1回2500円。第1回は既に10月に実施、受験者27人全員が合格したという。今月4日から第2回を実施中で、来年2月初旬~3月下旬には第3回を予定している。
協会は「恥ずかしい話であり、検定を続けていくにあたり市と協議し改善していきたい」と話している。だがガイドの誤りを“放置”したまま検定は続ける方針に、市民から「無責任だ」との声が上がっている。
毎日新聞 2010年12月9日 東京夕刊