北にぜいたく品輸出、オーストリアの実業家に罰金刑
オーストリアの実業家が、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記への誕生日プレゼントと思われる50億ウォン(約3億6800万円)相当のぜいたく品を北朝鮮に輸出したとして、同国の裁判所から輸出金額と同額の罰金刑を言い渡された。
オーストリアのウィーン裁判所は7日、同国の男性実業家に対し、国連の対北朝鮮制裁(貿易禁止規定)に違反した罪で、330万ユーロ(約3億5600万円)の罰金刑と懲役9月(執行猶予付き)の判決を言い渡した。現地の日刊紙クリアが報じた。国連安全保障理事会は2009年、北朝鮮の核実験を受けて対北朝鮮制裁決議第1874号を採択し、高価なぜいたく品の北朝鮮への輸出規制を強化していた。罰金刑を受けた実業家の名前は明らかにされていない。
オーストリアの検察は当初、この男性が世界で最高価水準とされるヨット2隻を北朝鮮向けに調達した罪で起訴されたと発表した。調査によると、このヨットはイタリアのヨットメーカー、アジム・ベネッティの造船所で製造されたという。
警察によると、実業家はこのほか▲最新型のメルセデス・ベンツSクラス8台▲世界で最も高いといわれるドイツ・スタインウェイ社製グランドピアノ・トランペット・ドラム・そのほか航海装備-などを北朝鮮に売り渡したという。実業家は20年にわたり、金総書記に近い北朝鮮のブローカーに対し各種のぜいたく品を調達、代金を受け取っていたとのことだ。ヨットなどのぜいたく品は、金総書記の誕生日プレゼント用に注文したとみられる、とクリア紙は報じている。
検察は、「クォン・ヨンロク」という名前の北朝鮮の官僚が、船舶部品を仲介するこの実業家に接近し、取引を始めたと説明している。オーストリア紙インディペンデントによると、北朝鮮の官僚は、取引には中国人ブローカーと中国の銀行口座を利用していたが、昨年、北朝鮮の銀行口座から300万ユーロ(約3億3200万円)を引き出したことから、オーストリアの銀行職員が金融当局に連絡し、摘発されたという。罰金額は、実業家が物品調達の代価として受け取った金額に相当する。
裁判所の関係者によると、実業家は容疑を認めているが、罪を犯しているとは知らなかったとして、善処を訴えたという。インディペンデント紙によると、実業家は「わたしは商売人であり、政治家ではない。核爆弾を作るのを手助けしているとは思っていなかった」と話しているとのことだ。
全炳根(チャン・ビョングン)記者