中国の「成功者」層に新たな移民ブーム

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2010年12月08日

【新華社北京】 百万長者から中小企業の経営者、政治のエリートから名士まで、中国本土ではますます多くの「成功者」たちが移民を志すようになった。絶対数は多くないものの、その動きは資産やエリート層の流出といった懸念とともに注目を集めている。

 一部の専門家は、中国の国情や移民国家の発展の歴史から見て、現在の移民ブームが中国の社会基盤に打撃をもたらすことはないとみている。過去数回の海外移民ブームと今回の移民ブームとは地域と移民者層が違うだけで、中国のイメージ向上や中国人の海外での影響力強化に、同じく大きな役目を果たすとの見方だ。

 北京個人出入境仲介協会の斉立新会長は、今年の政策調整前の一時期、オーストラリアの商業移民では最低投資額の基準が150万元(約1890万円)、カナダの投資移民では80万元で、中国のエリート層や芸能人、セレブたちの間で人気が高まった。老後に海外のきれいな空気を吸い、安全な食べ物を食べて医療費を安くあげることが目的だ。

 広東省広州市の米国・香港移民手続き仲介業者では、「顧客には北京や上海など各地の『成功者』も含まれている」と明かした。

 ますます高まる投資移民ブームについて、業界関係者の多くは「世の中が心配する『エリート層の流失』といった言い方は成立せず、新たな移民ブームが中国の安定した社会基盤に大打撃を与えることはない」と話している。

 北京個人出入境仲介協会の斉会長は、「過去15年間、中国本土の住民で合法的に外国の永久居住権を獲得した人は150万~200万人だ。中国全体の人口に占める割合は大きくなく、投資移民はもっと少ないことになる」と説明。さらに、「移民は中国に背を向けたわけではなく、逆に移民後、国内のメリットに気付いて、生活の重心を中国に戻したいと考える人が多い」と指摘した。

 上海個人出入境仲介協会の黄維鈞秘書長は、「どの国も制限無しに移民を受け入れることはない。需要は大きいものの、中国からの投資移民がずっと高成長を維持することはあり得ない」と話した。2009年以降、カナダ、オーストラリアなどの国が投資移民の受け入れ基準を高め、投資額を倍にして受け入れ規模を抑え始めた。

 米国土安全保障省によると、09年、中国本土から米国への投資移民は2000人弱で、支払った費用は計10億ドル。人数、資本規模ともに大きくないと言える。

 中国からの投資移民の主な目的地は米国、カナダ、オーストラリアなど、移民政策が緩い国で、国際社会で強い発言権を持つ国でもある。移民たちは中国のイメージと国際的な影響力の強化について、過去の移民者たちよりも大きな役割を果たしているのだ。

 黄秘書長氏は「新たな移民はほとんどが国内で大学教育を受けた人々で、経済的実力が強く、国際社会でより多くの発言権と影響力を持つ。中国の価値観を西側諸国に広めることにも役立つ」と話した。

(翻訳 崔蓮花/編集翻訳 恩田有紀)

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