■偶然網にかかったらそれは捕鯨ではない! 韓国の人々の鯨ライフ(3/4)
蔚山には、映画『ザ・コーヴ』のルイ・シホヨス監督が「世界で唯一無二」という表現で批判した、長チャンセンポ生浦という場所がある。ここはかつての捕鯨基地であり、現在もわずか1.5kmの区間に29もの鯨料理店がズラリと並ぶ。
生まれも育ちも長生浦、「誰よりも鯨を愛する男」として料理店主らの信頼を集めているのが、長生浦で鯨の土産物店を営むコ・ジョング氏だ。蔚山鯨文化保存会の事務局長でもある彼はこう語る。
「長生浦の住民はイヌイットなどの先住民と同じ存在。生きるために、愛するがゆえに鯨を食べてきたのです。しかし韓国政府は我々を犠牲にし、一方的に捕鯨の権利を奪った。これは絶対に許されない。とはいえ、蒸し肉とユッケぐらいの料理法しかなく、鯨肉の味の普及をしなかった我々も悪い。鯨肉のおいしさを多くの韓国民に知ってもらっていれば、捕鯨にも理解が得られたでしょうから」
そんな後悔からか、コ氏が積極的に推し進めているのが新しい鯨料理の開発だ。鯨肉を使ったバーガーやジャーキーなどなど。もちろんイルカの肉も含む。
「グリーンピースをはじめ環境保護団体から批判はありますが、祭りの前後にひと悶着あるぐらいで、年中行事のようなものです」
イルカ漁をする和歌山県太地町の人々とも親しく、鯨祭りに招待しては鯨・イルカ料理を披露し合っているというコ氏は「我々にも調査捕鯨の許可が欲しい。日本にも協力してほしい」と話す。【続きを読む】