尖閣諸島という沖縄県の小さな島が、今、大きな注目を集めています。
この島をめぐって、日本と中国が対立しているからです。
なぜ対立しているのでしょう?
尖閣諸島は、台湾と沖縄の間にある5つの島です。
日本の領土ですが、人は住んでいません。
領土というのは、その国が治める土地のことです。
そして、海に関しても、領土から22キロまでの所は、その国が治めることができると決められています。
これを領海といいます。
領海でとれる魚は、その国の国民のものですし、海の底に石油などが埋まっていたら、その国のものになります。
7日、尖閣諸島の一つの島の沖12キロくらいのところで、中国の漁船が網を入れて魚を捕っているのを海上保安庁の船が見つけました。
海上保安庁というのは、海の警察のことです。
海上保安庁は、日本の海だから魚を捕るのをやめるよう警告しました。
しかし、漁船はそのまま逃げたので追いかけたところ、ぶつかってきたのです。このため、海上保安庁は漁船の船長を逮捕しました。
中国政府は船長を逮捕したことに抗議しました。
なぜなら、尖閣諸島は中国の領土で、漁船が魚を捕っていたのは中国の領海だからだというのです。
なぜ、日本の領土を中国も自分の領土だというのでしょうか?
中国は、今から450年前、明という国だった時代の古文書に、これらの島々について書いてあることが証拠だと言っています。
これに対して、日本は国際法という世界の取り決めから考えても、日本の領土に間違いないという立場です。
今から110年以上前の明治時代に、当時の中国のものではないということを確認し、正式に日本の領土にしました。
その後、70年以上、中国はずっと文句を言ってきませんでした。
国際法では、長い間、他の国の文句を受けずにその土地を治めている場合は領土となります。
だから、尖閣諸島は日本の領土なのです。
中国が尖閣諸島を自分の領土だと言い始めたのは1970年ころのことだったそうです。
なぜ急にそんなことを言い始めたのでしょうか?
実はこの前の年に国連が尖閣諸島を調べた報告書を出しました。
そこには、このあたりの海の底に石油や天然ガスが埋まっている可能性があると書かれていました。
石油や天然ガスは、車を走らせるにも、飛行機を飛ばすにも、そして電気をつくるためにも必要なもので、お金がもうかるのです。
これをきっかけに、中国は尖閣諸島を自分の領土だと言い始めたのではないかとみられています。
尖閣諸島では、これまでもトラブルが相次いでいました。
今回も中国では、日本が船長を逮捕したことについて抗議が相次いでいますし、日本と中国のトップ同士の話し合いも見送られました。
逮捕された船長を裁判にかけるかどうかは、今月中に決まります。
尖閣諸島の問題をどう解決するか。
難しいけれども、日本の領土に関わる問題ですから、きちんと考えていかなければなりませんね。
【 2010/09/19 放送(内容は放送時点でのものです) 】