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【コラム】

筆洗

2010年12月6日

 現実主義者らしい決断をするのか。それともあくまでも理想を守ろうとするのか。首相の判断次第で、政権のタカ派的な本質がはっきりとする重大な局面が近づいている▼政府は、年内に策定する防衛大綱に武器輸出三原則の見直しを盛り込む方向で最終調整に入ったという。平和国家の理念より、防衛産業の代理人になったかのような政権の姿には、失望するばかりだ▼三原則見直しを提言したのは党の外交・安全保障調査会。仙谷由人官房長官、前原誠司外相、北沢俊美防衛相が協議し、提言の基本的な方向性を尊重することで一致したという▼兵器の国際共同開発・共同生産という潮流に乗り遅れ、技術的な鎖国状態になるとして、三原則見直しを強く求めてきたのは防衛産業だ。特定の業界を保護するために理念を捨てるということなのか▼世界的な流れといっても「共同開発とは名ばかり。米国が友好国からカネだけ集める奉加帳方式」との自衛隊幹部の本音(四日付「核心」)もある。肝心の米国との共同開発や技術供与は、すでに三原則の例外扱いである▼かつて、小欄で「自民党時代より前のめりになっているのではないか」と書いた。軍縮をリードする資格を有する国が、理念を捨てることは果たして国益にかなうのか。連立を持ち掛けたい公明党は慎重姿勢という。すべては菅直人首相の腹一つである。

 

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