ネット発ヒット商品番付2010 横綱は「動画中継」「ソーシャルゲーム」
産経新聞 12月9日(木)11時49分配信
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ネット発ヒット商品番付2010(写真:産経新聞) |
【東】
◆「動画中継」リアルに浸透
堂々、東の横綱に選ばれたのは、動画中継。4月に米国発動画サイト「ユーストリーム」日本版がスタートし、ミュージシャンがライブ配信するなど動画中継が一般化した。TBSも9月に行われた民主党代表選の一部始終をユーストリームで中継、総視聴者数43万人を記録した。
審査員の情報サイト「ガジェット通信」発行人、深水英一郎さんは、「動画サイトがネットとリアルをつなぐ結節点となり、動画サイトを中心に新しいビジネスが生まれてきています」と指摘する。
米アップルの多機能情報端末「iPad」が大関。5月の国内発売日には徹夜で並ぶ人が続出した。
昨年から人気を集めている米アップルのiPhoneの対抗馬として登場したのが、アンドロイド携帯だ。米グーグルが開発したOS(基本ソフト)を搭載したもので、携帯各社が発売、注目を集めたことから関脇に。
小結は、共同購入型クーポンサイト。共同購入者を集い、安価で商品やサービスを販売する米国発サイトで、日本でも次々と立ち上がった。最大手、米グルーポン社も既存サイトに資本参入し、10月から「グルーポン・ジャパン」として本格的に運営している。
iPadや電子書籍が今年、注目を集める中、ユーザーの間では手持ちの本を自ら電子化する“自炊”が流行。裁断機とスキャナーが通販サイトで販売好調だったことから、前頭に番付された。人気機種「裁断機PK−513L」を販売する文具・オフィス用品メーカー、プラスによると、iPad発売時期には、従来の5倍の売れ行きだったという。
【西】
◆「ケータイゲーム」心盗む
西の横綱に輝いたのは、ソーシャルゲーム。SNS上でプレーするゲームで、他のユーザーとも楽しめる。今年は「怪盗ロワイヤル」がヒットした。
審査員で、グルメ口コミサイト「おとりよせネット」などを運営するアイランド代表、粟飯(あい)原(はら)理咲さんは、「怪盗ロワイヤルをはじめ、テレビのCMで目にしない日がないほどネット発のソーシャルゲームサービスは大衆化しました。文句なしで第1位」と話す。
東の大関「iPad」人気に後押しされ、注目タイトルが登場した電子書籍が西の大関に。作家、岩崎夏海さんの「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)は、iPad、iPhoneの端末で9万ダウンロードされるベストセラーとなっている。
審査員の博報堂DYMPメディア環境研究所主任研究員、森永真弓さんは、「従来とは違う書籍販売形態が台頭し始め、出版社や卸業などのあり方が語られて、社会の変化にも見えました」とする。
関脇は、携帯電話のGPSを使った位置情報ゲーム。移動距離に応じて、ポイントを稼ぐなど、通勤中でもできる手軽さが受け入れられた。
iPhoneなどのカメラを使い、現実の風景とデジタル情報が重なる拡張現実「AR」が小結。アニメ「ガンダム」のプラモデル発売30周年を記念したARなどが、ネットの人気を呼んでいた。
前頭には、通販サイトで販売好調だった「生」食品が入った。カステラやドーナツなど、「生」タイプの新しい食感の商品が女性に受けた。
≪審査員が選んだ「私の番外ヒット商品」≫
□博報堂DYMPメディア環境研究所主任研究員 森永真弓さん
無線でネットにつなげる「Pocket WiFi」(ポケットワイファイ) 「iPadなど、無線インターネット環境を持っている方がより快適に楽しめる端末が、今年一気に増加しました。『ポケットワイファイ』などの無線インターネット環境を提供できるデータ通信端末の需要も増えています。今年の影の立役者です」
【プロフィル】森永真弓
昭和51年生まれ、東京都出身。平成13年に博報堂入社。専門はソーシャルメディア。Web面でコラム「WEB充生活」を連載中。
□「ガジェット通信」発行人 深水英一郎さん
キャラクター化された音声合成ソフト(ボーカロイド)による「ボカロ楽曲」 「音声合成技術などの発展により、ついにボーカルまでもコンピューターで制御可能となりました。それらの楽曲が音楽ランキングに食い込み、人間のボーカルより上位に入ることも。特に初音ミクシリーズは息の長いヒットとなっています」
【プロフィル】深水英一郎
昭和44年生まれ。熊本県出身。国内最大のメルマガ発行システム「まぐまぐ」を個人サイトとして開発運用。未来検索ブラジル代表取締役。
□「アイランド」代表 粟飯原理咲さん
手軽に蒸し料理ができるシリコンスチーマー 「今年、大手レシピサイトで軒並み検索ワードトップに。電子レンジで手軽に蒸し料理ができ、ポップな色使いで、そのままテーブルでも楽しめます。工夫次第でアイデアレシピが広がる点がウェブのCGM(消費者生成メディア)と相性抜群なのでは」
【プロフィル】粟飯原理咲
昭和49年生まれ。大阪府出身。NTTコミュニケーションズなどを経て平成15年より現職。「おとりよせネット」などの人気サイトを運営。
□「SANKEI EXPRESS」編集長 鈴木裕一
日本で本格上陸狙う米国発SNS「Facebook」(フェースブック) 「70カ国以上で展開し、ユーザー数5億人を超える世界最大級SNSが、日本でもブームの兆し。1月にはその創業を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開予定で、知名度が上がりそうです。来年は国内SNSとの戦略差別化が鍵を握るでしょう」
【プロフィル】鈴木裕一
昭和36年生まれ。千葉県出身。59年に産経新聞社入社、警視庁キャップ、社会部長などを経て、昨年2月から現職。
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最終更新:12月9日(木)11時49分