2010年12月01日

ASの自覚について〜『生き辛い』と自覚できるASのことが、定型であろう私にはよく判らないのですが・・・〜

アスペルガー症候群の当事者の書籍を読んでもそうだから、
おそらく私自身の認知が悪いのだろうけれど、
『今までの生き辛さは、アスペルガー症候群だったからでした・・・』
なーんて言われても、ピンと来ないんだよな・・・

生き辛い・・・これは何を基にしてそう感じるのだろうか?
生き易いことを経験していて、そこと比較して『生き辛い』と感じるなら判る。
でも、何とも比較してないよね?
ってことは、自分自身で生み出した感覚感覚か、
または他者の『生き易さ』と比較した感覚なんだろうけれど、
アスペルガーが自分自身の持つモノサシで、
今の状況が『生き辛い』と感じるものなのか疑問だし、
ましてや、『周囲と比べて、私は生き辛い』と感じるのであれば、
それはもう自閉症の脳ではない。

アスペルガーの脳は、他者と本質的な比較をしない。
人間の脳は、他の脳と(メカニズムとして)同期しない。

ぼくのアスペルガー症候群―もっと知ってよぼくらのことを
この本の著者は、ケネス・ホールくん(Kenneth Hall)。
発刊当時、10歳である。
彼は、アスペルガー症候群の診断を得ていて、
自分が好きなこと、嫌いなことを子ども的な表現で綴っている。
他の、例えば、ドナ・ウィリアムズやテンプル・グランディンなどの
成人アスペルガーが書く文章のような難解さは無く、
非常に読み易い。
読み易いからこそ判るのだが、ケネス少年は自分自身のことを特別だとは思っていない。

ただ、例えば藤家寛子さんのように、
『他人の家に自分が暮らすのと同じような家庭があるとは思わなかった』とか、
という感覚は、『それが普通ではなかった、と理解した』とするならば、
私には全く受け入れられない、判らない感覚なのである。
上辺だけ、『それが普通(多数)だ』ということを聞いたからそう思うこととした』、ならば判る。
しかし、『それが普通だということを根底から理解した』となると、
ほんとかよ!とツッコみたくなる。

ケネスの言葉は、理解という論点ではなく、
自分は、こう考える、こう感じる・・・
それはアスペルガーだからなんだって!
アスペルガーで僕は幸せだ!!
・・・ということを粛々と訴える。
それを、どう捉えるかは、・・・コッチ次第なんだなぁ。


ついでに、ケネス・ホールの母、ブレンダ・ボイドの本
アスペルガー症候群の子育て200のヒントも、ご紹介しておきます。

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posted by らんどせる at 13:05| Comment(6) | お薦めの本をご紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに何と比較して生き辛いと感じるのかって
疑問に思いますね。
私たちから見ると我が家の息子(高一AS)は社会の中で生きていくのは大変だろうと思います。
でも本人はそう感じているのかは分かりません。

我が家の小4の末っ子ですが小さい頃から耳が悪く
(滲出性中耳炎という病気)普通に聞こえる状態が
あまりないので自分が耳が悪いって事が分からないらしい。良い状態が分かっているからこそ聞こえ辛いと感じる事が出来るが、絶えず悪いのでそれが当たり前だと思っている。
ASの人も生まれた時からこれが普通なのではたして生き辛いと感じるものなのかなあ?

本人に聞いても分からないだろうなぁ・・・
Posted by miki at 2010年12月01日 15:35
まさに! まさに! です。

私は、想像力がなく、「標準との比較」がとっても苦手なんです!

ただ、日本のアスペ当事者さんの本を読んで、
「それって普通じゃない?」
と思いました。
と、心療内科医にお話すると、
「普通じゃないよぉ〜」
と、爆笑されちゃうんです。

ドナさんは、虐待とかあったし…
また、違う辛さがあったのでしょうね…

ケネスくんの本もすーっと読める感じでした。
Posted by ぴんぴん at 2010年12月01日 15:55
初めまして。アスペルガーの夫とアスペルガーの子供を持つ母です。
夫と息子の話では、一生懸命やっても上手く出来ない事や理解出来ない事を、健常の方々は簡単に日常的にこなしている。
「出来て当たり前・普通はこうだよ・変だよ・誰でも分かる事だよ」等と周囲から批判される。
そして、健常の方々が難しいと言っている事が簡単に出来てしまったり、分かってしまう時も有る。
「凄い!なんで出来るの?・普通出来ないよ」等と驚かれる。

こうやって周囲から比較され続けて、自分は普通では無いのだと気付き、周囲に合わせようと努力と我慢を続ける事で生き辛さを常に感じてしまうそうです。
Posted by たいやき at 2010年12月02日 00:32
Mikiさん。
生まれつき『こうだから』判らないんですよ、きっと。
先天性視覚障害の方が、『見える』という感覚をわかり得ないのと同じ。
霊感がある(?)人の感覚を、私が判らないのと同じだと思うんですよね。
Posted by らんどせる at 2010年12月02日 13:05
ぴんぴんさん。
標準との比較・・・大多数がどう感じるのかとの比較ってことですよね。
みんながどう感じるか!を推測するのも、きっと難しいんですよ。

ドナ・ウィリアムスさんの本は、翻訳にもよるんだろうけど、
言い回しが難しくて好きじゃないです・・・
途中で挫折しそうになるよね・・
Posted by らんどせる at 2010年12月02日 13:06
たいやきさん、はじめまして。
なるほどね〜。周囲にあわせるのは子どももやるんですが、
その理由(周囲にあわせたほうが良い理由)が判ってそうするのとは違いますね。
成長に従って、知性で理解できる日が来るんだ、きっと。

そういえば、
ブロガー仲間のだんなさん(AS)は、
『自分が周囲にあわせるなんて不合理だ。自分のほうが真理なのに!』と、
いつも怒っているとか^^;
Posted by らんどせる at 2010年12月02日 13:06
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