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【櫻井よしこ 菅首相に申す】「国民はぶち切れている」 (2/3ページ)
日本を取り巻く国際環境の厳しさを見よ。田久保忠衛氏はいまや世界が「中国の革命」に直面していることを指摘する。昨年7月、世界各国の中国大使を呼び戻して胡錦濤国家主席が行った在外使節会議での訓話では「韜光養晦(とうこうようかい)」、つまり低姿勢を保ち力を蓄える方針から、「積極有所作為」、成すべきことを積極的に成す方針への大転換が語られている。これを米外交評議会アジア研究担当ディレクター、エリザベス・エコノミーは「中国の革命」と呼ぶ。
能ある鷹(たか)は爪を隠す姿勢を変えて、もはや爪は隠さないと決意した中国は、国際社会の手法や制度に合わせることで国力を殺(そ)がれることを嫌い、自らが国際社会のルールメーカーになろうとしている。
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たとえば、新幹線の事例に見られるように、中国は他国の知的財産権を侵害する。世界の知的財産権侵害の被害の8割は中国によると言われるが、反省とは反対に、彼らはもっとあからさまに世界の最先端技術や知識を中国式手法で取得しようとする。レアアースの輸出は大幅に減少させるが、中国で生産する企業には供給する、ただし、その企業には最先端技術の中国への移転が求められるという具合である。
国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)への出資も増やし、発言力を強め、国際金融においても中国の主張を押し通す戦略である。「中国の革命」は安全保障においてとりわけ深刻な影響を及ぼす。国際社会はすでに中国の対外強硬姿勢を、3月の北朝鮮による韓国の哨戒艦天安撃沈事件で痛感させられた。物的証拠にもかかわらず、中国は北朝鮮を擁護し、有事の際、北朝鮮に自国の影響力を及ぼし続ける道を確保する意図を見せた。いかなる他国の介入も許さず、その地域海域は軍事力をもって支配するという核心的利益の海として、南シナ海を宣言した。