JR可部線の廃止区間、可部―旧河戸間(広島市安佐北区、約2キロ)の電化延伸を想定した地元の動きが本格化している。広島市が来年度の着工を目指す方針を示したのを受け、住民が利用促進を検討する協議会や宅地開発を目的にした土地区画整理事業の組合を設立する準備を進めている。
協議会は「可部線利用促進期成同盟会(仮称)」。可部地域の町内会や自治会で構成する「可部線沿線のまちづくり懇談会」が母体となり、来年4月の設立を目指す。地域の社会福祉協議会や住民グループ約20団体に参加を呼び掛ける。
懇談会の西田征義会長(72)は「電化延伸を後押しするとともに鉄路復活をまちづくりにつなげたい」と話す。協議会の役割に、パークアンドライド(P&R)用駐車場の確保や駅と団地を結ぶ交通手段の調査、イベントの開催などを想定する。
宅地開発は旧河戸駅周辺の住民が計画。旧駅西側の広島県営荒人住宅跡地と田畑計約7ヘクタールを施工区域に予定する。2007年に地権者12人が区画整理に向け発起人会を設立。既に開発に必要な一帯の地権者53人の仮同意を取り付けている。
発起人会が4月に県内の住宅メーカー30社に実施した調査では、3社が参画の意向を示した。本年度中に開発業者を内定し、組合を設立。新駅設置を想定し、住宅や店舗スペースの配置を盛り込んだ開発構想をまとめる。
【写真説明】電化延伸が検討されているJR可部線可部―旧河戸間の旧河戸駅付近。住民の要望で線路は廃止当時のまま残されている
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