毎日新聞記事から。
石原都知事:同性愛者「やっぱり足りない感じ」
東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。石原知事は3日にPTA団体から性的な漫画の規制強化を陳情された際、「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」と述べており、その真意を確認する記者の質問に答えた。
7日の石原知事は、過去に米・サンフランシスコを視察した際の記憶として、「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」と話した。同性愛者のテレビ出演に関しては、「それをことさら売り物にし、ショーアップして、テレビのどうのこうのにするってのは、外国じゃ例がないね」と改めて言及した。【真野森作】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101208k0000m040122000c.html
「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」
なぜメディアはこの差別発言を批判的に取り上げないのか大いに不満です。
政治家として礼節の欠片もない最低の発言なのであります。
「やっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせい」という石原氏の発言は、同性愛者(ゲイ・レズビアン)だけでなく性同一性障害(ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー=GID)の人達に対する偏見をも助長する点で、政治家として言語道断であります。
私の会社はIT関連ですが、全社員数は少人数ではありますが5年前から性同一性障害の社員が働いております。
また今年内定を出した学生のうちの一人も性同一性障害ですので、来年4月から2名になります。
5年前に採用した社員(当時:戸籍上女性でした)は、大学院でロボット工学を学んでいましたが、就職先がなく最終的に少し専攻とは畑が違う私の会社を受けに来たのでした。
面接時の話では、やはり数十社受けてすべて不採用という状況でありましたが、能力も高くコミニュケーションスキルも十分であり、私の会社としては採用とさせていただきました。
入社1年目に本人の希望で名前を改名しかつ戸籍を男性に変更するために、役所への手続きなど会社として全面的にサポートさせていただきましたが、いや日本の役所の融通のきかない書類提出に泣かされながらもなんとか無事変更ができました。
当時、この社員を向かい入れるにあたって当社でもちょっとした騒ぎというか、戸惑う事務の女性などもいましたが、私は「この会社に入社すると決まった以上、この社員は徹底的に「男性」として扱う、いかなる区別も認めない」と心に決めておりましたので、一切の特別な配慮はしてきてきませんでしたし、本人もそれを望んでいたようです。
5年過ぎましたが今では中核をになう技術者として活躍してくれています。
私の個人的認識では、多くの性同一性障害者は幼いときから自分の「障害」をはっきりと自覚・認識しつつも、周りの対応や偏見、世間体などを意識してカミングアウトのタイミングに悩んでいます。
就職がひとつの機会となるのですが、日本の場合、性同一性障害者と認識した場合、大企業はまず採用を見合わせますので、実は彼らに取り就職は大きなハードルでもあるわけです。
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厳密に言えば性同一性障害者と同性愛者はイコールではありませんが、一般人の偏見の対象になりやすい、異端視されやすい存在である点では共通しています。
しかし彼らは一般人同様、社会の一員であり構成員であり、なんら差別されるいわれなどありません。
石原都知事の同性愛者に対する「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう」という偏見を煽る発言は、やはり認めることはできません。
何が「足りない」のか具体的に明確化できるのか、「遺伝とかのせい」との発言の医学的根拠はあるのか、対象となる人達の立場を考えると、知事として政治家としてただの戯れ言ですますわけにはいきません。
根拠も無しにこのような個人のパーソナルな属性に基づき無責任な発言をする人は、知事とか責任ある地位にふさわしくはありません、小説家に戻った方がいいのでないですか。
「どこかやっぱり足りない」のは石原都知事、あなたの思考です。