宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2010年12月8日20時30分から金星探査機「あかつき」に関する記者会見を行った。金星周回の軌道投入が失敗に終わったことを受けてのもの。会見では、問題の「逆噴射」直後の姿勢に関するデータが公開された。噴射から2分23秒後にあかつき本体の姿勢が大きく乱れるトラブルが発生したことを明らかにした。
「あかつき」は日本初の金星探査機で、今年5月21日に打ち上げられた。金星の上空を周回し、金星に吹き荒れる暴風現象の解明を行う予定だった。12月7日に「あかつき」金星周回軌道に移行するための逆噴射を行ったが、予定よりも短い時間しか噴射できず、減速に失敗。現在、「あかつき」は太陽を回る軌道に入り、6年後に訪れる金星軌道への再突入を目指している。
会見では「あかつき」から送られた姿勢のデータを示すグラフを公開(写真上)。噴射から2分23秒後に衛星の姿勢が大きく乱れ、本体が5秒に1度回転するトラブルが発生したことを明らかにした。直後に「あかつき」は非常事態に備える退避姿勢に移行し、噴射を中止した。
会見の後半、ニコニコ動画の亀松記者が 「現在ネット生中継させていただいています。これは質問ではありませんが、視聴者から中村先生がんばれ、"あかつき"もがんばれとのコメントが多数寄せられています」と発言。プロジェクトマネジャー中村正人教授はホッとしたような笑顔で「ありがとうございます」と返した。
今後JAXAは6年後に行われる「あかつき」金星周回軌道への再投入に向けて、調査と再計画を行うことになる。「あかつき」の設計寿命が2年であり厳しい再投入が予想されることについて、中村教授は「設計寿命を超えてもぴんぴんしている衛星は多数ある。この衛星もそうであってほしい」と述べた。
※金星探査機「あかつき」金星周回軌道投入失敗に関する記者会見 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv34239701
(番組はタイムシフト機能で2010年12月15日まで視聴できる)
(伊豫田旭彦)