ショートとフリーで4回転を入れたエフゲニー・プルシェンコ。
女子史上初、ショートとフリーでトリプルアクセルを、しかもコンビネーションにも入れた浅田真央。
確かに、2人とも、フリーでジャンプミスはあった。
けれども、転倒はしていない。(←ここ重要)
オリンピックの金メダリストに対しては、私たちはつい、彼ら/彼女らに完璧なノーミスを求めてしまうものだが、それが金メダリストの絶対条件かといえば、そうではない場合も多々ある。
例えば、カルガリーの時は、あのカタリナ・ヴィットですら、実は、フリーで着氷ミスをしていたりする。
(↑この場合、2位以下の選手が転倒してしまった。)
アルベールビルに至っては、クリスティ山口/伊藤みどり/ナンシー・ケリガンという3人のメダリスト達は全員、フリーのジャンプで転倒してしまっている。
ちなみに、アルベールビルのヤマグチと伊藤のフリーのスコアは下記の通り。
クリスティ山口(オリジナル1位/フリー1位 順位点1.5)
独 加 中 仏 日 デ チェコ 英 旧ソ
技 5.7 5.7 5.8 5.7 5.7 5.8 5.7 5.8 5.8
芸 5.9 5.9 5.9 5.9 5.8 5.9 5.9 5.9 5.9
計 11.6 11.6 11.7 11.6 11.5 11.7 11.6 11.7 11.7
伊藤みどり(オリジナル4位/フリー2位 順位点4.0)
独 加 中 仏 日 デ チェコ 英 旧ソ
技 5.8 5.8 5.8 5.9 5.9 5.9 5.9 5.6 5.9
芸 5.8 5.8 5.7 5.7 5.7 5.8 5.8 5.5 5.8
計 11.6 11.6 11.5 11.6 11.6 11.7 11.7 11.1 11.7
当時、スコアは、技術点と芸術点の合計で算定したが、合計点が同じ場合は芸術点が優先されるというルールがあった。赤字は、合計点数で勝ちとしたジャッジ。緑字は、合計点において両者を同等とみなし、芸術点優先のルールによって勝ちとしたジャッジである。
これを見れば、全てのジャッジが芸術点ではヤマグチが高いとし、中国とイギリスを除く7人のジャッジは技術点では伊藤みどりの方が高いと評価している(イギリスの奇妙なジャッジは、これがカットされることを解ってやっている)。取り柄のジャンプで失敗した伊藤とあれば、芸術点に定評のあるヤマグチに勝てるはずはない。結局、伊藤はフリーで2位となった。ちなみに、ここで伊藤が1位をとっても、銀メダルは変わらない。
さまざまな見方があろう。
9人中5人がドローと判定したとも言えるし、芸術点優先をもって山口を勝ちとさせた、とも言える。けれども、伊藤は転倒したのだから、技術点で6.0はあり得ない(ヤマグチも同じだが)。ゆえに、5カ国のジャッジがつけた伊藤の技術点5.9は、事実上のマックス、最大限の評価といってよく、そこにカナダとドイツを加えれば、英中を除く7人のジャッジが、トリプルアクセルを成功させた伊藤みどりの技術を、全選手中で最も素晴らしかった、と評価しているのである。さらに、邪推方々言えば、転倒したヤマグチの技術点は、伊藤のことも視野に入れて低めに抑えられているふうにも見える。
逆に、ヤマグチの側からすれば、英中仏を除く6人のジャッジから、「低さ」に定評のある伊藤の芸術性を、彼女の高い芸術性の次点とされたともいえる。彼女らの芸術点の差を、僅か0.1にキープするというのは、殆ど、ヤマグチに対する冒涜といっても良い。念のために言っておくが、芸術性においては、ヤマグチと伊藤とでは雲泥の差があった。個人的には、ヤマグチと伊藤の芸術点差は、通常、0.2〜0.3点くらいはあったと思う。
日本人の立場からすると、日本とチェコのジャッジはGJだが、フランスあたりの玉虫色感は、個人的には嫌いではない。ヤマグチや伊藤クラスの選手に技術点や芸術点で5.6をつけるというのは、下位選手との整合性を考えれば絶対にあり得ない数字でもある。上記のスコアは、どちらの選手の技術点にも芸術点にも、5.7〜5.9という極めて小さな振れ幅しか許されない中で、史上初の超難度ジャンプを成功させた伊藤みどりへの絶賛と、美しく舞ったヤマグチへの称讃との間で迷いに迷った、絶妙としか言いようのないジャッジだったと思う。もしかして、滑走順(伊藤が後だった)が逆だったら、結果も変わっていたのかもしれないとすら思う。(←つまり、ヤマグチへのジャッジメントを予め高くつけすぎてしまったんですね)審判の苦悩が伝わってくるかのようではないか。
このように、過去のジャッジにおいては、胃の痛くなるような苦悩の中で、伊藤の未曾有のジャンプに対しては、転倒すら軽視し、ヤマグチへのある種の暴挙をやってでも最大の称讃を送っていた。伊藤による技術上の偉業に対して、それに見合う分だけの芸術性を引き上げるということ。伊藤のトリプルアクセルには、極めて温かいまなざしが向けられていたのだし、一方で、それだけに惑わされない適正な評価も行われていた。まさに、ヤマグチの金メダルも、伊藤の銀メダルも、価値ある金メダル・銀メダルであったのである。
今回の浅田の負けについて、フリーのジャンプミスを云々する向きもあるが、あくまで基礎点だけで見れば、マイナス5〜6pt程度のこと。忘れてならないのは、浅田は、トリプルアクセルをショート・フリーを通じて合計3回も入れた上に、コンビネーションでも成功させているということである。トップと30pt近くも差をつけられる筋合いは無い。
というか、ジャンプミスとは言っても、転倒していない以上、また、超難度ジャンプを3回も成功させた以上、浅田が金、キムヨナが銀でも、全く納得させられる大業績である。ジャンプの加点をどれも最大限までとってしかるべきな上に、演技構成点でも――決して高くはない伊藤の芸術点を上げたように――最大の評価をすべきであった。
それがスポーツにおける技術と芸術性との軽重関係というものだし、浅田の大偉業が皆無になるほどのフリーのキムヨナの爆上げは、単に「ミス無し」ということで片づけられるようなものでもない。
ごく贔屓目の入った見方だと言われたとしても、今回に限っては、
揃いも揃って銀メダリストの、プルシェンコと浅田の方が、王者にふさわしい。
フィギュアスケートをきちんと、「スポーツとして」捉えるならばね。
もし、ライサチェックが、キムヨナが、
それぞれショートとフリーで、4回転やトリプルアクセルを入れていたのならば、
今回の結果についても、私は納得するのだが。
このオリンピックほど、
金メダルへの距離が遠く、そして、金メダルの価値がお安くなった大会は、
そう無かったのではなかろうか?
閑話休題(口調を変えて)。
しかし、浅田の精神力には恐れ入る。
バラけたコンビネーション、ぬけた3トウループ、という絶望的な(本来は違うはずだが)展開の後に、
それでもダブルアクセルなんて、決められるものなんだねぇ?
と、同時に、というか、個人的にはそれ以上に、
清々しい感動を与えてくれたのが、安藤美姫。
あぁ。
なんて、心が強くなったのかと。
今までの大会であれば、ショートでトップとあれだけ差をつけられたら、
フリーでは、転倒を連発していたというのに、完全なノーミスで仕上げちゃいましたね。
しかも、それだけではなく、
生まれて初めて、スケートをやっていて良かったなと思いました。
スケートが本当に好きになりました。
みたいなことを、どこかの局のインタビューで答えてたよね?
あぁ、もう。
美姫派の私としては、号泣しましたよ、それ。
安藤というスケーターの才能だとか演技だとかを、とても愛している私なのだが、
メンタルの弱さだけは、死ぬほど嫌いだったから。
それが、ここまで一皮むけるものなのかと。
んで、いや、なんとも明るい顔で、
ソチへの挑戦をきちんと口にしたときには、
天晴れ!!!
と、嬉しかったなぁ〜〜〜。
ソチでは既に26歳になっているのに、それにも挑むってんですね??
やっぱさ。
フィギュアの見どころは、技だよね?
ここ数年、某国選手のせいでグダグダになってたけれども、
コンビネーションにまでトリプルアクセルを入れられる浅田と、
もしかしたら4回転もできるかもしれないオールラウンダーの安藤と、
類稀なる天才ジャンパーの、この2人による技の競演が、楽しみじゃないか♪
そこに、ロシアのマカロワとか、アメリカの長洲とかの若い強豪選手が投入されるわけね??
あぁ、凄いことになりそう♪
次のトリノが、楽しみィ〜〜〜♪♪♪
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