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米ユタ州で新種の草食恐竜2種を発見

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 12月8日(水)18時36分配信

 “盾型の歯を持つ馬のような竜”と聞くと何やら伝説の生き物のようだが、最新の研究によると、かつてアメリカ西部で実際にこのような恐竜が生息していたという。この種を含め、今回2種類が恐竜の新たな仲間となった。

 まず、1億2500万年前に生息していた草食恐竜「ヒッポドラコ・スクトデンス(Hippodraco scutodens)」。2004年にアメリカのユタ州東部で頭蓋骨や骨格の一部が発見されている。低い頭部はまるでウマのように長く、口の中は盾の形をした歯で埋め尽くされていた。「ヒッポ(hippo)」と「ドラコ(draco)」はラテン語でそれぞれ「ウマ」と「ドラゴン」を意味し、「スクトゥム(scutum)」は「長楕円形の盾」、「デンス(dens)」は「歯」を表す。

 次も同じ時期の恐竜で、「イグアナコロスサス・フォルティス(Iguanacolossus fortis)」と名付けられている。ヒッポドラコの発掘現場からほど近い場所で2005年に発見された。「コロスサス(colossus)」は「巨人」、「フォルティス(fortis)」は「力強い」という意味で、名前は大きな体に由来する。ヒッポドラコの体長が4.5メートルなのに対し、イグアナコロスサスは9メートルある。

 イグアナコロスサスの歯は血縁関係にあるイグアノドンとよく似ている。イグアノドンは北アメリカに生息していた体長10メートルの草食恐竜で、生息時期はおそらくヒッポドラコたちの数百万年前にあたる。

 新種の恐竜は両方ともイグアノドン類に属する。この鳥脚類はたぐいまれな“成功”を収めた草食恐竜種で、白亜紀初期に世界中へ生息範囲を広げている。

 研究チームのリーダーでアメリカ、ペンシルバニア大学の地球環境科学者アンドリュー・マクドナルド氏は、「ただし、大量に生息していたにも関わらず、この時期のイグアノドン類の化石は北アメリカでは非常に珍しい。唯一の例外がユタ州の岩石層で、この地層はおよそ4000万年の幅があり、さまざまな種類の生物の化石が含まれている」と話す。

「北アメリカ西部では、過去20年にわたり白亜紀初期に関する興味深い調査が進められており、その成果に今回の新種発見も含まれている。これでまた1つ新しい章が埋まったわけだが、最終的な白亜紀初期の物語は相当入り組んだものになるだろう」。

 今回の新種は既にイグアノドン類の系統樹を書き換えている。北アメリカのイグアノドン類は、ヨーロッパやアジアの同類に比べて、この恐竜種の中で最も進化しているハドロサウルスとの類似性が少ないという。「例えば、ヒッポドラコはヨーロッパやアジアの種に比べると頭蓋骨が原始的だ。白亜紀初期に起きたイグアノドン類の進化は、ヨーロッパやアジアが中心だったと考えられる」とマクドナルド氏は説明する。

 アメリカのワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学の古生物学者キャサリン・フォスター氏は、今回の研究を受けて次のように話す。「大陸によって進化の度合いが異なっていたとしても、当時のイグアノドン類たちに姿形の差はなかっただろう。生息地に関わらず、見た目はほとんど同じだった。恐竜の世界では珍しい特徴だ」。フォスター氏によると、形態構造がこのように似ている恐竜種はほかに存在しないという。

 また、今回の研究により、適応性に優れたイグアノドン類が急速かつ広範囲に生息地を伸展させた過程についても手掛かりが得られるかもしれない。フォスター氏は次のように話す。「イグアノドン類を“白亜紀のウシ”としてとらえる考え方がある。体が大きく、どこにでもいて、二足歩行の肉食恐竜の餌食になる。ティラノサウルス・レックスのような“獣脚類”にとっては格好のエサだったかもしれない。興味深い存在だ」。

 今回の研究成果は、オンラインジャーナル「PLoS ONE」に11月22日付けで掲載されている。

Christine Dell'Amore for National Geographic News

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最終更新:12月8日(水)18時36分

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