【コラム】草食化する韓国の男たち
軍隊で精神を鍛え直せば、体力や根性が急に身に付くというわけでもない。息子たちを軍隊に行くまで育ててきた、韓国社会の教育・養育環境は、常に戦争を意識した過酷な環境で鍛えられた北朝鮮軍はおろか、米国やイギリス、フランスといった平和な国々の同年代の男性にも体力面で劣るほど、虚弱な「草食系男子」を生み出すものになってしまった。
米国の脳科学者、ルーアン・ブリゼンディン教授は、ベストセラー『男の脳、男の発見』で、「男女の脳の構造が異なるため、男の子は小さいうちから活発に動く。男性ホルモンの一種、テストステロンが急増する10代になれば、身体の変化と合わせ、冒険的かつ攻撃的な傾向も強まる」と指摘した。このため、「知育・徳育・体育」を強調する教育目標のうち、男子生徒にとって特に重要なのはスポーツだ。激しいスポーツをすることにより、体力が鍛えられ、それを土台として強い精神力も養われるというわけだ。
ところで、小学校の場合、この30年間に女性教師の比率が2倍以上に増えた(1980年36.8%→2009年74.6%)。女性教師が多くの科目を担当する小学校の教育現場では、体育が軽視されがちだ。各学校に体育担当の教師を配置し、子どもたちの体力をより体系的に向上させるなど、急速に女性化する学校現場の不均衡を是正するための取り組みはほとんど進んでいない。学校でこれといったスポーツを習得する機会がないため、テコンドー教室やサッカークラブなどの民間教育が発達してきたが、これらも本来、小学校が行うべきことだ。
中学・高校では、状況はさらに深刻だ。学習内容が入試を重視したものになり、重いかばんを肩に掛けて学校や塾へ通い、夜遅くまで机に向かうようになる。「文弱」といわれた朝鮮王朝時代に比べ、若者たちがさらに「勉強バカ」になったというわけだ。その結果、心も体も軟弱だったり、背は高くても極度にやせていたり、体力がなかったり、野性や闘志がまったく感じられない男子生徒ばかりになってしまった。
体力はまさに国力だ。国防改革や国力の増強も、小・中・高校のグラウンドに原点を求めるべきなのかもしれない。
姜京希(カン・ギョンヒ)記者(経済部次長待遇)