平成21年12月9日
同盟強化のための日米政府間協議先送り−米「普天間」越年に反発
日米が先月の首脳会談で合意した同盟関係を深化・発展させるための新たな政府間協議が、来年以降に先送りされることが確実になった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、日本側が社民党との連立維持を優先して年内の決着を断念したことに米側が反発しているためだ。岡田克也外相は8日の記者会見で「そういう(新たな政府間協議という)状況にないと自覚している。普天間問題を解決せず、同盟の在り方の議論に入る気持ちにはなれない」と述べた。
外相はさらに、普天間問題の難航を念頭に、日米同盟について「若干揺らいでいる。そういうふうにしてはいけない」と重ねて危機感を表明した。
政府間協議は、鳩山由紀夫首相が先月13日のオバマ大統領との会談で提案、設置が決まっていた。しかし、同じ首脳会談で普天間問題の「早期解決」で合意していたにもかかわらず、首相は年内の結論を先送りした上、移設先をキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)とした現行計画以外の選択肢も検討するよう外相らに指示。米側は「在日米軍再編のロードマップ(行程表)に悪影響を及ぼす」と強い懸念を示していた。
同盟深化の協議について日本側は、外務・防衛担当閣僚を中心に年内にも論議を始め、来年11月の米大統領の再来日の際、成果を公表する意向だったが、普天間問題の難航により、作業の遅れは必至となった。
一方、首相は8日午後も外相、北沢俊美防衛相、平野博文官房長官、前原誠司国土交通相を首相官邸に呼び対応を協議した。首相は18日にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の首脳級会合の機会に日本側の対処方針を伝えたい考えで、外相らとの協議後、「(対処方針を)決める方向で努力している。かなり詰まってきていると思う」と記者団に述べた。
ただ、コペンハーゲンで大統領との会談をセットするのは困難とみられ、会議の合間を利用しての立ち話などにとどまる可能性が高い。