韓米FTA:与野党の「損得勘定」に食い違い(上)

 韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉を「屈辱的な譲歩」だと攻撃している野党・民主党は6日、今回の再交渉で韓国は4兆4200億ウォン(約3220億円)の損失を受けるのに対し、利益は3000億-4000億ウォン(約220億-290億円)にすぎないと主張した。

 民主党が試算した損失額は、乗用車の関税撤廃猶予期間が排気量に関係なく一括4年間延長され、韓国の自動車メーカーが逃す「機会費用」だ。

 民主党外交通商委員会の幹事を務めるキム・ドンチョル議員は、対外経済政策研究院(KIEP)が2007年にまとめた試算に基づき、当初の協定通り排気量3000cc以下で即時、3000cc超で3年以内に関税が撤廃されれば、自動車の対米輸出は8億4000万ドル増え、貿易収支は7億6000万ドルの黒字が予想されていたとした上で、「(協定見直しで)それが吹き飛んだ」と主張した。キム議員は、対米貿易収支の損失分は4年間で30億4000万ドル、輸出増加損失分は33億6000万ドルに達すると試算した。

民主党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表は6日、韓米FTA再交渉の結果について、「米国の安全保障支援を受けていることに引きずられた屈辱的な交渉だ」と述べた。/写真=許永翰(ホ・ヨンハン)記者

 さらに、年間2億1500万ドルが見込まれた関税削減効果(2006年・産業研究院資料)も、関税撤廃の4年間猶予されたため、結果的に8億6000万ドルの損失になるとした。貿易収支の損失分と合計すると、39億ドルになり、ウォン換算で冒頭の4兆4200億ウォンという数字になる。

 一方、民主党が試算した再交渉の利益は、後発医薬品の市販規制を強化する「許可・特許連携制度」の猶予期間を1年半延長することによる効果が大部分を占めた。韓国の製薬業界は後発医薬品と新薬を開発する余裕を得た格好だが、民主党は07年11月に国策シンクタンクが示した見通しを根拠に、その経済的利益を最大で2382億ウォンと試算した。

 これほど損害が大きいはずの自動車業界が今回の再交渉を歓迎しているのはなぜか。これについて、民主党幹部は「製造業の立場では、4年遅れたとしても、撤廃以降は利益が出ることになる。早期の関税撤廃を望んでいただろうが、だからといって再交渉案に反対する理由もない」と指摘した。

 民主党は同日午前、損失額を「5年間で5兆ウォン程度」とした後、「4年間で4兆4200億ウォン」と修正した。

外交通商部のキム・ジョンフン通商交渉本部長は5日、韓米FTAの再交渉結果を発表し、「一方的な譲歩という見方には同意できない」と述べた。/写真= 鄭敬烈(チョン・ギョンリョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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