2010年12月8日13時29分
金星をまわる軌道に入ろうとして通信トラブルに見舞われていた金星探査機「あかつき」。トラブルから1日たって出た結論は「軌道投入失敗」だった。再挑戦は6年後。小惑星探査機「はやぶさ」が6月に無事帰還する快挙に沸いていただけに、行方を見守っていた関係者らに落胆が広がった。
「軌道に投入されていないことが確認され、投入を断念します」「期待にそえず申し訳ない」。記者会見は8日午前11時、神奈川県相模原市の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所で始まった。小野田淳次郎所長や計画責任者の中村正人教授は厳しい表情を浮かべ淡々と状況を説明した。
「はやぶさの成功で宇宙科学を応援する声が高まっていたのに、大変残念。応援をやめないでほしい」。小野田所長はこう訴えた。小惑星探査機「はやぶさ」はトラブルで満身創痍(そうい)になりながらも、6月に7年ぶりに地球に帰還。11月には試料採取の成功も判明し、日本の技術力の成果と喝采を浴びた。
探査機が金星を周回する軌道にのっていないことが判明したのは午前3時すぎだった。米航空宇宙局が追尾している軌道の情報が届いた。再度金星に接近するのは6年後になる。中村教授は管制室のメンバーに現状を伝え、「(再接近まで)探査機を守り続けよう」と語りかけると、メンバーは「目指しましょう」と答えたという。
1998年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」も軌道投入に失敗した。中村教授は「重力が大きい惑星の探査はなかなか難しいもんだなと。原因はまだ分かっていないが、惑星探査は日本としてやらなければならない課題。技術を磨いていかないといけない。今はむしろ闘志をかき立てられている」と語った。
文部科学省では担当者らが大臣への説明などに追われた。職員らから「祈るような気持ちだったが、非常に残念」という声がもれた。
「あーぁ 残念」。簡易投稿サイト「ツイッター」上でも落胆の声がまず上がった。「はやぶさ力を貸してくれ!!」と今後に期待をかける応援のつぶやきも続いた。