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臨床試験記事で本社などを提訴 東大医科研教授ら

2010年12月8日22時4分

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 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授と同氏が社外取締役を務めたオンコセラピー・サイエンス社は8日、朝日新聞社と記者に損害賠償と謝罪広告掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした、と発表した。医科研付属病院のがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐる記事で名誉を傷つけられたとしている。

 朝日新聞は10月15日付朝刊で、医科研が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験の被験者に「重篤な有害事象」(消化管出血)が発生した事実を、医科研がペプチド(たんぱく質の断片)を提供する他施設に伝えていなかったとする記事を掲載した。オンコ社が中村氏の研究成果をもとにしたがん治療薬開発のために設立され、複数の施設の臨床試験に深く関与していることも伝えた。翌16日付朝刊では、「研究者の良心が問われる」とする社説を掲載した。

 記者会見した弁護士らによると、(1)記事や社説は、医科研が被験者に起きた消化管出血を他病院に知らせなかったことが反倫理的行為で問題であり、中村氏に責任があるかのような印象を与える(2)記事は、がんペプチドワクチンで消化管出血が起きたことを隠したのは、中村氏とオンコ社の経済的利益が優先された結果だとの印象を与える――などとして、それぞれ1億円の慰謝料を求めたとしている。

■確かな取材に基づいて報道

 朝日新聞社広報部の話 当該記事は臨床試験制度の問題点を被験者保護の観点から医科研病院の事例を通じて指摘したもので、確かな取材に基づいています。記事の狙いなどについては、11月10日付朝刊「臨床試験を考える」、11月30日付朝刊「ワクチン臨床試験報道 患者 こう受け止めた」で改めて報じました。医療サイト・アピタル(http://www.asahi.com/apital/)には、医科研代理人からの書面に反論する回答書などを掲載しています。

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