北朝鮮:ウラン濃縮「試験的生産」へ拡大か 米研究所報告

2010年10月9日 10時38分

 【ワシントン草野和彦】米シンクタンク「科学・国際安全保障研究所」(ISIS)は8日、北朝鮮のウラン濃縮計画が「実験」から「試験的生産」へ拡大した可能性があるとの報告を発表した。今後、北朝鮮の核を巡る交渉が再開された場合は、ウラン濃縮計画の破棄に優先的に取り組むべきだとも警告した。

 報告は、複数国の政府が入手した北朝鮮の物資調達データや、北朝鮮に核技術を提供したパキスタンからの情報をもとにした。北朝鮮は昨年9月、「ウラン濃縮実験に成功し、完了段階に入った」との書簡を国連安保理に提出したが、報告はこれを裏付けるだけでなく、さらに計画が進んでいることを示した。

 ウランを核爆弾に使用するには、遠心分離機で濃度を高めることが必要だ。報告は、北朝鮮が少なくとも「遠心分離機の工場を建設する能力」があるだけでなく、「既に高濃縮ウランを生産している可能性も否定できない」としている。

 北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議ではこれまで、プルトニウム型核兵器に重点が置かれてきた。北朝鮮がウラン濃縮に成功すれば、核兵器開発の手段だけでなく、核技術の拡散の脅威も増す。

 ISISは先月30日、北朝鮮の核施設の無能力化措置として爆破された寧辺(ニョンビョン)にある黒鉛減速炉の冷却塔跡地で、何らかの建設工事が進んでいることも明らかにしている。

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