有川浩さんのベストセラー小説「阪急電車」の一場面に挿入され、かつて宝塚市の阪急今津線、宝塚-宝塚南口間の武庫川中州に存在した巨大な「生」の石積みオブジェが5日、復活した。【山衛守剛】
「あ?」
思わず声が漏れた。鉄橋を渡り終える寸前の川の中州に、
『生』
小説冒頭の1シーン。阪急電車に乗り宝塚駅を出発した男女が偶然車内から見えたオブジェをきっかけに初めて会話を交わす。
オブジェは同市の現代美術家、大野良平さん(51)が阪神大震災から10年目の05年1月に「再生」の意を込めて制作。翌年には自然消滅したが、小説の読者からオブジェ復活を望む声が高まり、11月末から市民や学生を巻き込んでの制作が始まった。大きさは縦約20メートル、横約15メートル。河原の石を約40センチの高さに積み上げた。
大野さんは「『再生』の根底にある『生きる』力を表現したかった」と語る。オブジェは18日と1月16日の2回、いずれも午後6時からライトアップされる予定。
〔阪神版〕
毎日新聞 2010年12月6日 地方版