マニフェスト見直しは無責任体質の表れ
参院選に向けてのマニフェスト見直し作業も無責任体質をあらわしている。
昨年の衆院総選挙時点での「子ども手当月額2万6000円」をはじめ、主要なばらまき公約のたぐいはすべて見直す方向だ。
国家の借金が1000兆円に達しようとするときに、当たり前といえば当たり前の話なのだが、「ムダの削減で必要財源を生み出す」という方針も、完全に見通しを誤ったといっていい。
事業仕分けがその典型だ。
連日、テレビのワイドショーをにぎわせてきたが、パフォーマンスの域を出ない。参院選候補の強硬発言が目立つのも、そういう思惑があるためだ。
公開の場で税金の使われ方を明らかにするという試みそのものはかつてない手法だが、これで縮減される予算額は、せいぜい数千億円の規模である。
数十兆円足りないという実態から遊離してはいないか。ここは消費税に踏み込む以外にない。
筆者が事業仕分けをうさんくさく思う理由のひとつは、「外交フォーラム」「ジャパンエコー」といった国際情報誌を休刊に追い込んだことである。