普天間問題は「政治機能不全」の象徴
地政学的にいっても、沖縄は朝鮮半島、台湾海峡という、この地域の二大「発火」予想地域に近接している。
核の傘をバックに、沖縄駐留米軍の存在はこの地域の安定にとって、死活的に重要なのである。
沖縄の理解を得て、基地との共存共栄の立場からも、納得づくでことを進めるのが喜ばしいことはいうまでもない。
だが、「県外・国外」などと実現不可能な目標を打ち出し、案の定、ここに至って、4年前に日米間で合意した名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸部への移設案に戻ることになった。
鳩山首相は政府方針について「現行案ではない」としているが、それは言葉のあやというもので、実質的には結論はこれしかない。
かくして普天間問題は、「政治がまったく機能していない」実態を象徴する展開となったのであった。
連立政権を組む社民党党首の福島みずほ少子化担当相は、名護市辺野古が閣議了解の文面に入っていたら署名しないと息巻いている。
鳩山首相は署名を必要としない「首相発言」で逃げ切る手も考えているようだが、社民党はここで連立離脱の決断をしたほうがいいのではないか。
おそらくそのほうが、参院選でもいい結果を導くだろう。参院の与党勢力は社民党を欠いても過半数に達しているので、いまの鳩山政権にとっては痛くもかゆくもない。