2008年に福岡県中間市で起きた指定暴力団工藤会系組幹部の射殺事件で、殺人罪などで福岡地裁小倉支部に起訴された組幹部と組員の公判について裁判員裁判の対象から外すよう、福岡地検小倉支部が地裁支部に請求していたことが8日、分かった。裁判員裁判の除外請求は九州では初めてで、全国でも2例目とみられる。
裁判員法は、裁判員裁判対象事件でも、裁判員やその親族などの生命や財産に危害が加えられる可能性がある場合は、裁判所の判断により、例外として裁判官だけで公判を開くことができると定めている。
地裁小倉支部によると請求は11月17日付。除外請求をした理由について地検小倉支部は「裁判所が非公開で決定することなので、請求の手続きを含めてコメントはできない」としている。だが、工藤会系組員が過去に一般市民を狙った発砲事件などを起こしていることから、今回の被告側が、裁判員に何らかの圧力を加える恐れがある点を考慮したとみられる。
起訴されているのは、同会系組幹部の坂本敏之(42)▽同会系別組織の組員岩永哲平(32)の両被告。起訴状によると、2人は08年9月10日、中間市で、同会系組幹部=当時(66)=の自宅で、幹部の胸などを拳銃で撃ち殺害したとされる。
今月6日に開かれた公判前整理手続きで、公判日程は来年1月26日-2月7日のうちの7日間と決まった。地裁小倉支部は近く裁判員候補者への呼び出し状を送付する予定。このため、裁判員裁判の除外請求についての判断は、いったん公判が開始された後になる可能性もあるという。
=2010/12/08付 西日本新聞夕刊=