公正取引委員会が8日、立ち入り検査に入った携帯電話向けゲームサイト「モバゲータウン」の運営会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、競合サイトに同じゲームを提供した場合、ゲームを検索しても表示されないようにするなどとゲーム開発業者に迫っていたとされる。
急成長する携帯向けゲーム市場でのシェア争いが背景にあるとみられ、開発業者を実質的に囲い込む動きといえる。
大手ゲーム会社の担当者によると、家庭用ゲーム機と異なり、携帯電話でのゲームは、バッテリーの消費を節約するため単純なプログラムが多い。家庭用機は、機種ごとにシステムや操作方法に大きな違いがあるが、携帯向けゲームではあまり差がなく、競合サイトに同じゲームを提供することも可能という。
関係者によると、DeNAは1月、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で自社に限らないゲームの公開を可能にした。グリーも6月、同じシステムを導入し、8月には新たに30〜40種類を公開予定だった。
しかし、公開前に複数の開発業者が「見送りたい」と申し入れた。DeNAから、公開中のゲームの対価も支払わないと言われた開発業者もあり、公開は約半数にとどまったという。
システムを先駆けて導入したDeNAが、モバゲータウンの魅力的なゲームをグリーにも提供されるのを防ぐために条件付きの取引を提示したとみられる。
携帯電話向けゲームサイト「GREE」の運営会社グリーの話
公取委の検査にはコメントできないが、弊社は今後も「囲い込み」をせずに、フェアな環境で業界を盛り上げていきたい。今年8月、取引業者からゲームの提供を見送らせてほしいとの申し入れがあり、報道されているような話を知った。