東京大大学院工学系研究科のアニリール・セルカン元助教=懲戒解雇=が博士号取得論文に他人の著作物を盗用していた問題で、東大は26日、元助教が所属していた建築学専攻の学位審査が「(基準を満たすかどうかを中心になって判断する)主査の独断的な判定が容易に通りかねないなど、極めてずさんな仕組みだった」とする調査結果を発表した。
東大によると、元助教の博士論文は全体の4割に盗用があった。審査過程で複数の教員から論文の独自性への疑問や水準への批判が出たが、元助教の指導教員で主査だった松村秀一教授は、本人に確認せず手続きを進めた。
松村教授は東大の聴取に「批判を重大にとらえなかった」と説明。建築学専攻は学位審査の合否や成績の判定を主査に委ねることが常態化していたという。
東大は松村教授の指導が不適切だったとして懲戒処分する。来年3月末までに論文不正防止のガイドラインを作成して全学的に配布するとともに、学位審査体制を点検するとした。
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