【社説】強い軍隊の第1条件は強い精神力(下)

 ところが現在の韓国社会には、自ら祖国の価値をおとしめ、誇りを失わせようとする考え方がまん延しているのも事実だ。50年以上にわたる休戦状態は、今この国が南北合わせて200万人の兵士が互いに銃剣を突きつけ、対峙(たいじ)しているという現実を忘れさせてしまった。大統領から軍、国民の誰もが、大韓民国が直面している安全保障の現実を受け入れることがまずは急務だ。

 強い軍隊を育てる第1の原則は、上官が模範を示して統率することだ。しかし最近の将校は、自らが指揮する部隊の戦闘力を引き上げることよりも、むしろ自分の個人的な昇進や配置転換に多くの神経を使っている。また訓練中に事故が発生することを恐れるあまり、訓練を適当に済ませるようなこともあるという。このような状況は、今回新たに就任した国防長官が、「軍は行政組織に変わってしまった」と嘆くまでに至った。軍のトップや将校らが、率先垂範して「真の軍人とはこうあるべき」という姿を示さなければ、末端の兵士が変わることはできないだろう。

 また、2年の軍隊生活を一生の宝と考える社会の雰囲気も高めていかなければならない。さまざまな手段を使って兵役の義務を逃れるのは一生の恥であり、最終的には人生に不利益をもたらすことを、国民の誰もが当然と考える社会を築いていかなければならない。

 兵役の際、少しきついと感じただけで親に携帯電話で連絡し、その電話を受けた親が軍に抗議するなどといった行動は、先進国の国民ならば絶対にあるまじき行為だ。

 大韓民国の軍隊が強い軍隊として生まれ変わるためには、「強靱な精神力」「国民の健全な安保意識」「指導者とその息子たちによる率先垂範」が三位一体とならなければならない。これらが実現してこそ、大韓民国は国の安全保障だけでなく、韓半島(朝鮮半島)の平和と統一への道を突き進むことができる。

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る