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2010年12月7日(火) 19:30 |
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高齢者にもやさしい心臓病手術
高齢で体力がないため、心臓病の手術を諦めていた人に新たな治療法です。 心臓の弁を置き換える手術にカテーテルと呼ばれる細い管を使うことで手術の負担を軽くし、これまで諦めていた人にも手術が可能となりました。
手術をうけた松川寿美江さん(90歳)です。 一時は人工呼吸器をつけるなどの危険な状態となり余命1ヶ月ともいわれました。 心臓の弁を入れ替える手術をして今では、歩くことができるまで回復しました。 最近は、週2回のデイサービスに出かけるのが楽しみとなっています。 松川さんは、心臓の大動脈にある弁が十分機能しなくなる「大動脈弁狭窄症」でした。 高齢者に多く、進行すれば心不全を起こします。 現在の治療では胸を大きく開いて心臓を一時止め、心臓の弁を人工弁に取り替える手術が必要ですが、高齢で体力がない患者は手術ができないケースがあります。 松川さんの手術を担当した倉敷中央病院の小宮達彦医師です。 松川さんの場合は、高齢で基礎疾患もあるため、従来のような手術は負担が大きく、無理と判断しました。 そこで、小宮医師はある特殊な人工弁を使った手術を行いました。 松川さんの手術で使われたものと同じタイプの人工弁です。 直径2.3センチですが、大きな違いは鉛筆の太さくらいに折りたたむことができるところです。 直径は7ミリ、カテーテルと呼ばれる細い管で機能が低下した大動脈弁の位置まで人工弁を運んで取り付けることができます。 胸を大きく開いたり心臓を止めたりすることがないため体力がない患者にも手術が可能です。 松川さんは心臓の弁を入れ替える手術から2週間後に退院、すっかり元気になりました。 デイサービスでは昔から大好きだった生け花を楽しんでいます。 この人工弁を使った手術は、ヨーロッパでは数千例が行われていますが日本ではまだ治験段階です。 まだ限られた施設でしかできない手術ですが、負担が少ない治療として手術をあきらめていた患者には朗報といえそうです。
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