内出血で赤く染まった左目に、事件の“爪痕”が残る。世間の注目を集めて13日目。無数のフラッシュを浴びながら、ついに海老蔵が公の場に姿を見せた。
「このたび、世の中の方々をお騒がせしてしまい、心より深くおわび申し上げます。このたびのことは、日頃の自分のおごりが招いたことだと思います」
体調不良を理由に製作発表をキャンセルして繁華街に繰り出した揚げ句、暴行事件に見舞われて主演舞台を降板したことを深くわびた。
会見冒頭で、松竹の迫本淳一社長から厳罰の無期限謹慎が発表され、海老蔵は一度上がった壇上から降り、46秒間、頭を下げ続けた。回数は冒頭だけで6回にも及んだ。司会者にうながされて再登壇した後は、終始、被害者の立場を貫いた。
自身の暴行について「そのようなことは一切ない」と誓い、さらに「灰皿にお酒を入れることはしておりません」「土下座をした覚えはありません」と付け加え、「自分は被害者だと思うか」と聞かれると、「そうだと思います」とキッパリと言い切った。
さらに、殴打事件直前に介抱していたという元暴走族のリーダー格や加害者について「知り合いの方ではございません。どなたとも面識はありませんでした」と強調した。
普段の口調とはうって変わり、ゆっくりと言葉を選びながら返答する。事件の核心に触れる質問には、政治家の答弁のごとく「捜査中であり答えられません」、「酔っていたので記憶にございません」を連発した。
会見中には診断書を手に病名を次々に読み上げ、全治2カ月との診断の結果を明かした。少しやつれた顔は目立った傷はなかったものの、入院中に3キロやせ、頭には白髪も混じっていた。
殴打事件が発生したのは、東京・西麻布の会員制カラオケバー。海老蔵は事件後は携帯電話を店内に置いたまま、裸足で逃げ出したと振り返った。思い出したくもない“愚行”に「本当に命が掛かる問題だったので、非常に混乱していました。暴行を受けているとき、逃げているとき、死ぬかと思いました」と声を落とした。
無期限謹慎により、1月の主演舞台の中止が決定した。「今回のことに限らず、お酒を飲むときは常識内のことを心がけないといけないと再認識しました。当面の間、お酒を飲むことは考えられません」。実に1時間34分のロングラン会見。怖い者なし、思うがままにふるまってきた歌舞伎界のプリンスの姿は、そこにはなかった。