「反物質」閉じ込めに成功 理研参加の国際チーム宇宙にほとんど存在せず、物質と出合うと消滅する「反物質」の一種を、実験装置の中に約0・2秒閉じ込めることに成功したと、理化学研究所などが参加する国際チームが、17日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 閉じ込めが1秒ほどに延びれば、レーザーを照射して性質を調べやすくなる。反物質を構成する反粒子と通常の粒子が同じ振る舞いをするという、物理学の基本的な理論を検証する実験に道が開かれた。 理研の山崎泰規上席研究員によると、閉じ込めに成功したのは水素原子を構成する陽子と電子それぞれと電気的性質が逆の、反粒子でできた「反水素原子」。欧州合同原子核研究所(CERN、ジュネーブ)に設置された装置で、反粒子である反陽子と陽電子をつくり、新たに開発した実験装置の中で混合。 こうしてできた反水素原子は小さな磁石の性質を持つため、装置内部に磁場を掛け閉じ込めるようにした。反水素原子があれば、磁場を切ると束縛を逃れて装置に衝突して消滅、光などを出すことから、実験を300回以上繰り返した結果、38個を0・17秒以上閉じ込めたことが確認された。 【共同通信】
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