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武器輸出三原則、見直し明記せず 防衛大綱、社民に配慮

2010年12月7日15時10分

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 菅内閣は、原則すべての武器輸出を禁じる武器輸出三原則の見直しについて、年内に取りまとめる防衛計画の大綱(防衛大綱)に明記することは見送る方針を固めた。防衛、外務などの関係閣僚は盛り込むべきだとの考えで一致していたが、菅直人首相が見直しに反対する社民党との連携を重視する方針を示したことを踏まえ、断念した。

 ただし、武器の国際共同開発・共同生産の必要性を訴える意見が閣内に根強いため、大綱とは切り離して三原則の見直し議論を継続する。

 見直し推進派の北沢俊美防衛相は7日の閣議後会見で、菅首相と福島瑞穂社民党党首による党首会談を取り上げて「政策として進めてきたことと、政局で進めてきたこととの間で調和を取るのはこれからだ」と語り、大綱への明記にはこだわらない姿勢を初めて示した。

 北沢氏はこれまで、「政権交代が行われたチャンスを使わないといけない」と指摘。民主党政権で初の大綱改定に合わせて三原則見直しを進める構えだった。

 また、仙谷由人官房長官も同日の会見で「武器輸出三原則というのは一体全体、何を指しているのかというところから議論しないと、言葉だけが躍っても意味がない。そういう議論を含めて、社民党の方々ともまずは党レベルで(協議を)行って欲しいというのが昨日の首相指示だった」と語り、社民党との協議を優先させる方針を示した。

 ただ、北沢氏は「我々は従来通りの方針で進んでいく」と強調。仙谷氏も「(議論を)1年かけてやったからいいという話ではない」と語り、三原則見直しに向けた検討は継続する構えだ。

 三原則の見直しは、戦闘機や艦船などを多国間で共同開発・共同生産を進める動きが広がっていることが背景にある。三原則が足かせとなって共同開発や共同生産に参加できなければ、高い価格で輸入を強いられるとの危機感が政府や防衛産業に根強い。

 北沢氏や仙谷長官、前原誠司外相ら関係閣僚は三原則見直しにかかわる表現を防衛大綱に盛り込む方針で一致していた。一方社民党は「防衛大綱に武器輸出三原則の見直しがあれば、政権との距離も考えなければならない」(福島氏)と主張していた。

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