通信トラブルで探査機の状態が確認できなくなっている日本で初めての金星探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構は、送られてくる電波の強度が周期的に変動していることから、危機的な状況に陥ると自動的に移る「セーフホールドモード」と呼ばれる回転状態になっているとみられることを明らかにしました。
「あかつき」は半年間の宇宙飛行を経て、7日午前8時49分、金星の上空550キロの地点に到達し、金星を回る軌道に入るためのエンジンの逆噴射を行いました。その直後に通信トラブルが発生し、「あかつき」の詳しいデータを送れない状態が続いていて、金星を回る軌道に正常に入ったかどうか、現在も確認できていません。宇宙航空研究開発機構によりますと、「あかつき」から送られてきた電波を調べたところ、強度が周期的に変動していることから、「あかつき」は太陽電池パネルを太陽に向けた状態で、コマのように回転しているものと推定されるということです。この状態は探査機が危機的な状況に陥ると自動的に移る「セーフホールドモード」と呼ばれ、数々の困難を乗り越え地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」も、通信が途絶した際にこの状態になっていたということです。宇宙航空研究開発機構では、地上から指令を送り、「あかつき」の回転を止めて姿勢を安定させ、通信の回復に全力をあげることにしています。