北朝鮮砲撃:惨劇の島、傷跡深く…現地ルポ(11月25日)
【延坪島・西脇真一】韓国・延坪島(ヨンピョンド)に25日入った。潮風に混じり建物の焼け焦げたにおいが鼻をつく。屋根が大破し、隅々まで焼き尽くされた民家の姿は、砲弾の破壊力のすさまじさを物語る。残った壁に無数の穴が開いている。爆風で割れたガラスは路面に飛び散り、きらきら輝いた。
役場の幹部は「これは戦争だ。避難するしかない」とやり場のない怒りをぶつけた。
島は北朝鮮から約10キロ。北朝鮮の射撃訓練の音が対岸から聞こえる。「じたばたしてもどうしようもない」。島民はあきらめに似た気持ちを抱えて暮らす。焼け野原の先でゴルフの練習をしている男性の姿も見えた。
「これからも緊張し続ける。平和な生活に戻れるのはいつのことか」。人影のまばらな島で島民はつぶやいた。
北朝鮮砲撃:100発着弾で兵士2人死亡 韓国側も応戦(11月23日)
【ソウル大澤文護、ニューヨーク山科武司】23日午後2時半(日本時間同)ごろ、韓国が黄海上の南北軍事境界線と定める北方限界線(NLL)まで約3キロの韓国領・延坪島(ヨンピョンド)に向け北朝鮮側から砲弾100発以上が発射され、このうち数十発が島内の韓国軍基地や民家に着弾した。韓国軍合同参謀本部によると兵士2人が死亡、兵士15人が重軽傷、民間人3人が軽傷。韓国軍は対岸約10キロに位置する北朝鮮黄海南道の海岸砲基地からの攻撃とみて約80発の砲撃で応戦し、日本政府関係者によると、北朝鮮側にも被害が出たとの情報がある。北朝鮮が韓国領土を砲撃し、人的被害が出たのは1953年の朝鮮戦争休戦以来初めてで、朝鮮半島情勢は緊迫の度を増している。
2010年11月