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【インタビュー】6カ国協議首席代表会合提案は受け入れられず=前原誠司外相

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 前原誠司外相は29日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、中国が提案する6カ国協議首席代表による緊急会合開催の提案は受け入れられない、との見方を示した。外相はまた、公表数字の2~3倍の国防関連費用を使用しているとみられる中国に対し、真意をただして透明性を求めていく、と発言。さらに地域の安定のため、日米同盟を深化させる必要性がある、と述べた。

前原誠司外相 AFP/Getty Images

前原誠司外相

ウォール・ストリート・ジャーナル(以下、WSJ):中国が6カ国協議首席代表の緊急会合開催を提案し、これを協議再開に結び付けようとしている。これが正しい対応と考えるか。日本としては、会合開催に合意するには何が必要と考えるか。

前原外相:10月の終わりにハノイで中国の楊潔チ (ようけつち)外相と話をした。北朝鮮については、6カ国協議が対話のための対話であってはいけない、何らかの前進がなければ開く意味がない、ということで合意した。そういう観点からすれば、今回は6カ国協議の前段階の協議といっているが、(北朝鮮が)濃縮ウランの開発をわざわざ示し、しかも無防備の住民が住む韓国の島に砲撃を加えてむしろ状況を悪化させていながら、協議を開くということはとうてい簡単には受け入れられない。

 むしろ、北朝鮮がウラン濃縮と今回の事態に、何らかの真摯な対応、6カ国で合意した非核化に向けた対応を示すことが大事だ。北朝鮮がより暴れて、だから6カ国で集まろうというのはわれわれとしては受け入れられない提案ではないかと思う。

WSJ:昨日、米韓合同軍事演習が始まった。日本を母港とする米海軍第7艦隊の空母が演習に参加していることで、日本も間接的に関わっていると言えるかもしれない。そう遠くない日に、日本が合同演習に参加できるようになることを希望しているか。

前原外相:今回の訓練は延坪島への無差別砲撃が起きる前から予定されていた。その後には日米合同演習が予定されており、日本はこれに参加することになる。過去も様々な形で日米韓は協力してきた。今後もさらに安全保障面での協力を詰めていくということは極めて大事なことだと思う。

WSJ:北アジアの安全保障環境が変わりつつある。日本としては今後、より積極的に合同演習といったような形で、関わっていることになるのか。

前原外相:今までもPSI(拡散に対する安全保障構想)といった活動は協力してやってきた。必要に応じて参加国の協力関係をより強めていくということは必要だ。

WSJ:内閣支持率が下落している。理由として外交政策を挙げる人が多いが、なぜこのような認識ができてしまったのか。立て直すためにどうするのか。

前原外相:野党や一部マスコミの批判の根底にあるのは、民主党政権になって普天間の問題で日米関係がぎくしゃくし、その後に尖閣の問題が起きたことだ。そしてロシアも大統領が北方領土への視察を行った。一連の関連付けで物事をみて、だから民主党の外交安全保障政策はだめだということを言っているようだ。私は必ずしもそうはみていない。確かに尖閣問題の船長の返し方の問題には、いろいろな意見があると思う。そのことは十二分に認識している。

 こと日米関係について言えば、確かに普天間の問題は迷走した部分があったが、われわれは5月28日の合意に基づいて沖縄にしっかり説明をし、受け入れてもらうように粘り強くお願いをしていくということで、米国とも歩調を合わせている。また、同時に米国とは、今回の中国の問題もあり、この地域の安定のために、基地問題が中心になってはいけない(もちろん基地問題も重要であるが)、日米同盟関係はこの地域の安定のための公共財、というお互いの認識を持ってさらに深化をさせようということで合意をしている。

 尖閣の実効支配はこれからも続けていくわけであり、主権が侵されたわけではまったくない。今後も日本独自の力を一義的に行使して尖閣の主権を守り続ける、この島の領土問題は存在しないということをわれわれとしては言い続けていくということはまったく変わらない。

 北方領土の問題については、自民党政権からのさまざまな交渉、秘密・極秘の公電を見ていても、別に民主党政権だから今回の訪問があったわけではない。その兆候は2005年頃から起きていた。背景には資源価格が上昇し、資金的余裕が出てきたロシアが、最も遠い北方領土や千島列島に対する開発プログラムを資金計画を伴って行い、その検証に2005年からかなりハイレベルの政府高官が来ていたことがある。その流れでメドベージェフ大統領が今回訪問したということだ。それらを結びつけるということは、政権を批判する上においては、1つの流れとして説明しやすいのかもしれない。しかし、事実関係はそうではないし、そういう見方をすることがむしろ日本の国益を損ねることになる。われわれは4島の問題は、日本固有の領土であり、帰属を確定して日ロ平和条約を結ぶという考え方にまったく変わりはない。

WSJ:05年に大臣は有名なスピーチで「中国は脅威」と呼んだが、現在もそのような見解を持つか。そして尖閣問題はまさにその証ではないかというように感じるか。

前原外相:そのときの私の原稿は「real concern」ということだ。日本語では脅威と訳されたが、英語ではそういうことであった。しかし、この約20年間で国防費が19倍に増えていて、またペンタゴン(米国防総省)の調査によると、実際の公表数字の2~3倍の国防関連費用が使われているのではないか、という不透明さについて、われわれはしっかりその真意をただして透明性を求めていくことも大事な観点と思う。

WSJ:沖縄知事選の結果が出た。これを受けて、基地問題は解決に向かうのか、それとも解決はまだ先か。

前原外相:仲井真候補の再選は沖縄県民の民意だ。われわれは重く受け止めなければいけないと思っている。どちらの候補が勝っても、政権の考え方はまったく変わらない。5月28日の日米合意を沖縄県民にしっかりと説明しながら、実行していくということに尽きる。

WSJ:知事は選挙戦で県民の(普天間飛行場の移設に関する)強い反対に直面し、厳しい路線を主張せざるを得なかった。合意を受け入れるにしても、まずは条件をみなければいけないと言っているが、知事の言うところの条件は満たされるのか、それとも障害は残るのか。

前原外相:まずはわれわれの立場を知事にあらためて表明する。知事の側もすぐに、わかりました、などという話にはならないだろうが、われわれの公約変更をお詫びしながら、真摯にねばり強く話をしていく。そこから、対話と解決の糸口を見出していくということに尽きる。

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日本版コラム〔11月30日更新〕